【トピックス】資産運用EXPO 2020

資産運用EXPO2020から見る投資業界の最新動向


資産運用EXPOは、2018年から始まった資産運用に関する展示会で、2020年1月23日〜25日に東京ビッグサイトにて第3回が開催されました。出展社は210社で、回を重ねる毎に出展社が増え続けており、投資業界の盛り上がり、資産運用に対する関心の高さが感じられます。そこで、東京ビッグサイトの会場に実際に足を運び、投資業界の最新動向を見てきましたので、収集した情報の概要について共有したいと思います。なお、記事の中で一部の企業を具体例として挙げていますが、あくまでも情報としての一例であり、その企業を推奨したり、逆に否定したりする意図は一切ありませんので、最終的な投資判断はご自身で慎重に行っていただきたいと思います。

 

資産運用EXPOの会場は非常に広く、国際展示場南ホールの2フロアにまたがり、展示会の中でも規模が大きい印象でした。ホール内は、投資のカテゴリー毎に区画が分かれており、不動産投資フェア1(マンション、アパート、オフィスビルなど)不動産投資フェア2(太陽光、土地活用、海外不動産など)金融資産フェア(株式、FX、投資信託、仮想通貨、現物資産、副業など)家計の見直しフェア(保険、ローン、家計相談など)のそれぞれのカテゴリーにおいて、多くの企業が出展していました。展示会場全体に占める各カテゴリーの面積としては、不動産投資フェア1(マンション、アパート、オフィスビル)が全体の約半分の50%を占め、続いて不動産投資フェア2(太陽光、土地活用、海外不動産など)が30%、金融資産フェアが20%、家計の見直しフェアが10%程度でした。一方、来場者で最も賑わっていたのは金融資産フェアであり、全体の20%の面積に対して最も多くの来場者が殺到している状態でした。このことから、資産運用EXPOに対するニーズとしては、売り手すなわち出展社ニーズは不動産投資業界に多く、買い手すなわち来場者ニーズは金融資産業界に多いと言えます。

 

出展社側と来場者側のニーズのバランスが不釣り合いである結果、不動産業界は売り手過多の状態に陥っており、非常にきつい客引き合戦となっていました。あまりに客引きが強いため、展示をゆっくりと見ることさえできない状況でしたので、不動産投資に興味がない限りは、不動産投資のカテゴリーには無理に足を運ぶ必要はないと感じます。もちろん、不動産投資のカテゴリーに興味のある人にとっては非常に多くの案件を横並びで比較できる最高の機会ですので、強い客引きがあることを頭に入れた上で、時間に余裕を持って回るのがよいのではないでしょうか。不動産投資の中でも特に多かったのは、やはりマンションです。また、太陽光などの自然エネルギー投資も多く、中にはコインランドリー投資なども出展されていました。また、今年のトピックスとして挙げたいのが「民泊」です。ここ数年何かと話題にのぼる民泊ですが、このような大きな展示会に出展されるようになり、いよいよ民泊業界が本格始動しているという時代の流れを感じました。

 

続いて、最も来場者で賑わっていた金融資産フェアについて詳しく解説したいと思います。金融資産フェアは、株式、FX、投資信託、仮想通貨、現物資産、副業、IFAなどに関連する企業が多く出展していました。株式、FX、投資信託については、基本的には口座開設や投資信託の販売を目的とした出展が多く、業界の流れを感じることのできる話題性の高いキーワードとしては、「ポイント投資」というフレーズが見受けられました。投資信託の販売に力を入れる企業も多いのですが、基本的には投信信託は手数料ビジネスになりますので、もし購入を検討する場合は、手数料を加味し、海外投資信託であれば為替リスクや通貨に対する信用リスクも加味し、慎重に判断されることをお勧めします。株式、FX、投資信託の分野において特に印象的だったのは、昨年度大きなブースで出展していた企業の撤退と、老舗大企業の出展です。各業界大手で今年は撤退した企業としては、トラリピで有名なマネースクエアジャパンや、ソーシャルレンディングのクラウドバンクが挙げられます。いずれも、テレビCMなどへの展開も行っているため、広告戦略を更に上のステージにステップアップさせたと捉えるのが妥当と考えられます。一方で、今年から出展を始めた大企業としては、SBI証券やゆうちょ銀行が挙げられます。特にゆうちょ銀行の出展には驚きましたが、資産運用EXPOの知名度と信頼性が上がっている証拠とも言えます。お金に関する展示会ですので、信頼性が高まることは、来場者にとってもひとつの安心材料となり、非常に良い傾向にあると感じます。投資信託に関連して、今年非常に出展が増えていたのが、IFAです。IFAとは金融商品仲介業者のことを指し、いわゆる投資アドバイザーと呼ばれるサービスになります。IFAは中立の立場で資産運用のアドバイスを行うサービスになるのですが、実際は特定の金融機関や証券会社の投資信託を販売することを目的としているケースが多いため、こちらも仲介手数料ビジネスであることを念頭に置く必要はあります。

 

一方、出展社数が減少傾向にあると感じられたのは、仮想通貨と現物資産です。特に仮想通貨においては、一時期の仮想通貨熱は影を潜め、年々出展社数が減少しており、仮想通貨を専門に扱う取引所としての出展は1社のみでした。その1社は、設立して間もない会社で、セキュリティー面が最大の特徴とのことで、仮想通貨業界に対して消費者が最も求める部分であり、まさに時代を象徴している印象を受けました。また、現物資産においては、例年出展社数はあまり多くありませんが、今年は、昨年まで出展していた業界最大手企業の出展がありませんでした。これは単純に、来場者のニーズに若干合っていないためではないかと感じており、決して現物資産に魅力がないということではありませんので、来年度以降の動向も注視していきたいと思います。

 

そして、今年最も盛り上がっていると感じたのが、「副業」に関する出展です。副業と言いながらも中身は株式投資やFXの講座であったりと、金融資産の運用に他ならないのですが、物販ビジネスなどのライナップも含めて副業として出展されている点が、まさに時代を象徴している印象を受けました。老後2000万円問題や働き方改革などの時代の流れと共に、副業を推奨する企業が増え、まさに副業時代の到来を表しており、副業に対する社会的印象が良くなってきていることも追い風になっています。この副業支援分野で初めて大規模に事業展開を行った企業とも言える副業アカデミーのブースには、非常に多くの来場者が殺到していました。副業アカデミーは、第1回の資産運用EXPOから出展しており私も注目していたのですが、年々ブースが大きくなり、特に今年は副業業界の盛り上がりを肌で感じました。

 

このように、各カテゴリーごとの特徴や年による移り変わりを見ていくことで、資産運用を取り巻く社会の変化や時代の流れを理解することができます。もちろん、時代の流れの中で、世間の注目が高まっているカテゴリーが優れた投資であるとは言えませんが、もし何らかの投資を行っている、あるいは行おうとしているのであれば、投資業界全体を取り巻く状況を把握し理解しておくことは重要であると言えるでしょう。

 

最後に取り上げたいのは、期間中に会場内で開催されるセミナーについてです。出展社によるセミナーや、特別公演など、数多くのセミナーが開催されており、事前登録することで無料で聴講することができます。出展社によるセミナーは、商品の販売を目的としたセミナーに他ならないのですが、当然ながら受講者が商品を購入する義務はなく、無料で有用な情報を聞くことのできる非常にいい機会です。私も3つほど受講しましたが、非常に有意義な時間となりました。そこで、セミナーをいかにうまく活用するかについてひとつアドバイスをさせていただくと、テーマ受講をするということです。テーマ受講とは、何となくいろいろなジャンルのセミナーを聞いてみるのではなく、自分の実践している投資ジャンルや興味のある投資ジャンルに絞って複数はしごして受講するという方法です。例えば、株式投資を行っている人であれば、株式投資に関連するセミナーを複数はしごして受講します。株式投資に関連するセミナーだけでも、1日に5つ以上はありますので、十分にはしごは可能です。もちろん、株式投資の講座などの販売を目的にセミナーをしている場合が多いのですが、注目すべきは講師の株式投資手法です。株式投資で成功されている講師の先生は、それぞれ異なる投資手法で成功されています。手法に正解はないため、成功されている講師の先生の手法は、ある意味全てが正解であり有用です。ですから、セミナーをはしごすることで、様々な講師の有用な手法を1日で一気に知ることができるのです。このような機会はなかなかありませんので、是非とも活用すべきです。あとは、得られた多くの投資手法の中から、自分自身の投資に親和性があり取り入れられそうな部分のみをありがたく活用させていただき、自分自身の投資手法のクオリティーを上げていけばいいのです。大事なことは、多くの手法を知り、いいと取りをすることで、自分自身の投資手法を磨き上げていくことです。投資上級者になればなるほど、この手法が活きてきますので、是非とも活用されることをお勧めします。

 

以上のように、各企業の出展ブースやセミナーについて、2020年の資産運用EXPOの全体的な印象についてお伝えしましたが、資産運用EXPOは多くの投資案件を一度に見ることができる貴重な機会ですので、投資業界の最新の動向を肌で感じるためにも、足を運んでみるのもよいかと思います。非常に勉強になりますし、刺激にもなります。もちろん出展社は商品を販売することが目的ですので、受け身の姿勢では得るものも半減しますが、目的とテーマを持って参加することで、非常に有意義な情報収集の場となります。企業の比較、投資手法の比較、手数料の比較、システムの比較など、何かひとつでもテーマを持って参加するだけで、得られる価値は大きく変わります。資産運用を行う、あるいは資産運用を行おうとする身として、情報を得ることは非常に重要です。2020年の9月には大阪で、2021年の1月には東京での開催が決定していますので、無料で幅広く投資業界の情報を収集できる場として、参加してみるのもよいのではないでしょうか。

<資産運用EXPO 2020>

カテゴリー:

・不動産投資フェア1(マンション、アパート、オフィスビルなど)

・不動産投資フェア2(太陽光、土地活用、海外不動産など)

・金融資産フェア(株式、FX、投資信託、仮想通貨、現物資産、副業など)

・家計の見直しフェア(保険、ローン、家計相談など)

ニーズの傾向:

・出展社ニーズは不動産投資業界に多い

・来場者ニーズは金融資産業界に多い

資産運用EXPO 2020の特徴的傾向

・民泊投資の増加

・ポイント投資の登場

・老舗大手企業の新規出展→資産運用EXPOの信頼度向上

・仮想通貨投資の減少とセキュリティー対策の重視

・副業時代の到来

・無料セミナーの充実→参加価値の向上