FX①

リスクと難易度から考えるFX投資の手法


FXとは、外国為替証拠金取引と呼ばれる投資商品で、通貨間の為替相場の変動を利用して利益をあげていきます。利益をあげる仕組みは為替差益を狙った外貨預金と全く同じですが、FXの場合、証拠金を元手として、国内FX業者では最大25倍相当の金額を取引することができます。海外FX業者では、高いところで800倍から1000倍もの金額を取引することが可能です。これをレバレッジと呼び、外貨預金との最も大きな違いです。レバレッジを効かせることにより、少資金で大きな金額の取引ができるため、資金効率がいい反面、リスクも伴います。ただし、FXの場合、リスクも自分自身でコントロールできるため、そういう視点では非常に安全であるとも言えます。あとは、リスクリターンのコントロールをいかにしっかりとできるかが重要で、トレードスキル以上にメンタル面が重要であるとも言われます。FXは、このような特徴を有した投資商品です。

 

FXと聞くと、パソコンに向かってチャートを眺めながら売買を行うというイメージを持つ方が多いかと思いますが、必ずしもそうではありません。FXには様々な取引の手法があり、それぞれに特徴がありますので、取引手法ごとに解説していきたいと思います。FXの取引手法には、大きく分けて3種類あります。「裁量トレード」「自動売買(EA)」「ファンド」の3種類です。

 

(1)裁量トレード

裁量トレードとは、多くの方がイメージする、パソコンに向かってチャートを眺め、リアルタイムで売買を行う手法です。当然ながら、なんとなく売買するのではただのギャンブルになってしまいますので、安定的に利益をあげるためには、ロジックに基づきトレードをしていく必要があります。このトレードスキルこそが、裁量トレードにおける肝で、膨大な学習と経験を積まなければ身に付けるのは難しいと言えます。本気で習得する意欲と覚悟、そして時間があるのであれば、一生稼ぎ続けられるスキルが身に付きますので、ぜひ途中で諦めずに本気で取り組み続けて欲しいと思います。楽して稼げるロジックや、楽して身に付くスキルは絶対にありません。これは私の経験上、断言することができます。自己流だけで取り組もうとする方もいますが、間違いなく遠回りになりますので、教材から学ぶのがよいでしょう。少しでも短期間で習得するためには、書籍だけでなく、動画コンテンツの充実した質の高い教材を選ぶことをお勧めします。

 

裁量トレードのロジックにも、様々な手法が存在します。例えば、数日〜数週間ポジションを保有するスイングトレード、数時間ポジションを保有するデイトレード、数分間ポジションを保有するスキャルピングがあります。せっかく裁量トレードのスキルを身につけ、集中してパソコンと向き合うのであれば、スキャルピングで短時間で利益を上げていくのが最も効率的と言えます。スイングトレードのようにポジションを長期間保有する場合、利幅は大きく取れる可能性がありますが、ポジションを保有している間はずっと相場が気になるため、精神衛生上お勧めできません。裁量トレードにおいて最も重要なことは、精神的ストレスがかからないことです。ポジションを保有している間、相場が気になり、夜も眠れない、仕事も手につかない、という方がたくさんいます。精神的ストレスがかかると、売買判断が狂い、損失を出し、結果的にFXをやめてしまうという流れが待っています。裁量スキルを本気で身に付けようというのであれば、諦めずに続けることが重要ですので、精神的ストレスという最大のリスクは、極限まで抑えるべきです。そういう意味でも、短時間で相場から利益をあげられるスキャルピングは、集中するときは集中する、そうでないときはチャートを一切見ない、というオンとオフのメリハリが付けられるため、精神的負担は少ないと言えます。もしスイングトレードを行うのであれば、エントリーは裁量で行い、決済は自動売買ソフトに任せて放置する方が、安心してトレードができます。決済だけを行う自動売買ソフトもたくさんありますので、調べてみるとよいかと思います。自動売買については、改めて次に解説します。

 

(2)自動売買(EA)

自動売買とは、あるロジックに従って自動的に売買するソフトを使用したFX取引のことで、世の中には無数のロジックが存在し、無数の自動売買ソフトが無料または有料で提供されています。自ら自動売買ソフトを組み立てることも可能です。自動売買は、EA(エキスパートアドバイザー)とも呼ばれます。EAは、MT4(メタトレーダー4)と呼ばれるチャートソフトにインストールし、稼働させるものが最も一般的で、世界的に普及しています。これを聞くと、EAを入手してセットしてしまえば、永遠に自動でお金が増えていくものと思われる方も多いかと思いますが、それは大きな間違いです。相場は生き物ですので、その時その時で全く違う動きをしますし、全く同じ相場が再び訪れることは絶対にありません。しかし、似た相場が訪れることはありますし、相場にある傾向や法則が見られることもあります。その法則を分析し、そこから利益をあげられるようにEAは作られています。そのため、その法則に合致した相場では利益をあげられる可能性は高まりますが、そうでない相場が訪れると、たちまち全く利益をあげられなくなります。それどころか、大きな損失を出してしまい、せっかく得られた利益までもが水の泡となります。EAには、このような性質があるということを、大前提として覚えておいてください。

 

それでは、どのようにしてEAを利用して利益をあげていけばいいのでしょうか。それは、結局のところ、EAも裁量判断が必要ということになるのです。裁量トレードにおける売買スキルとは異なり、EAをうまく取り扱うためのスキルが必要という意味です。そのスキルとして挙げられるのが下記の3つで、これらのうち最低どれか1つは必要です。

・EAを動かすか止めるかの判断スキル

・複数ロジック(複数EA)の組み合わせスキル

・パラメーターの最適化スキル

 

「EAを動かすか止めるかの判断スキル」というのは、法則に合致した相場が来たらEAを動かし、そうでない時は止めるという判断です。つまり、相場状況を把握し、EAのロジックに合っているかどうかを判断しなくてはならないのです。

「複数ロジック(複数EA)の組み合わせスキル」というのは、複数の異なるロジックのEAを同時に稼働し、ある相場ではAというEAが利益を上げ、ある相場ではBというEAが利益を上げ、トータルとしてプラスの運用ができるようにEAを組み合わせるというスキルです。AというEAが法則に合致せずに損失を出している時は、その相場に合致するBというEAを併用することで利益を上げ、Aによる損失以上にBが利益を上げて結果プラスになるということです。

「パラメーターの最適化スキル」というのは、EAのロジックが合致しない相場になった場合、EAを止めるのではなく、その相場に合うようにEA自体に修正を加えるというスキルです。EAの動き方を決めている設定された数値のことをパラメーターと言いますが、その数値を相場に合わせて修正するということです。

 

このように、ある一定のスキルを習得することで、EAを利用して利益を上げていくことができると言われていますが、実はそれでも十分とは言えません。大きな落とし穴があるのです。これらのスキルは、いずれも直近の相場の動きをもとに判断することになりますので、結局のところ過去相場に基づいて判断することになります。昨日までの相場の動きがこうだったから今日もこうなるだろう、というように、直近の過去相場を基にした未来の予測に他ならないのです。パラメーターの最適化をこまめに行い、現在の相場に合うように最適化しているから大丈夫と考えている人も多いのですが、実際は違います。過去相場を基に未来を予測していますので、その予測が正しいかどうかは誰にもわかりません。誰にも未来のことはわからないのです。となると、裁量トレードと全く同じで、利益を上げるためには、EAをハンドリングするための極めて高度なスキルを習得しなければならないのです。つまり、EAを使用すれば楽だとか、スキルは必要ないだとか、そのようなことは全くありませんので、誤解しないように注意していただきたいと思います。

 

それでは、完全に自動で利益を上げ続ける方法はないのでしょうか。このような方法は、実際のところいくつか存在しますので、3つほど紹介したいと思います。

・EAのハンドリングをプロに任せる

・EAを使用するファンドに投資する

・確率論のみで考える

 

「EAのハンドリングをプロに任せる」というのは、EAのパラメーター設定、EAの稼働と停止、EAの組み合わせの調整などを、プロに任せるということです。具体的には、EAの開発者本人が、相場を常に分析し、パラメーターの設定値を都度教えてくれるというようなイメージです。数少ないですが、このようなアフターフォローまでセットになっているEAも販売されています。もちろんEA自体の性能が重要なのですが、ハンドリングまでフォローしてもらえるEAを選んで購入するというのは有効な方法と言えます。

「EAを使用するファンドに投資する」というのは、文字通りEAを用いてFXで運用しているファンドに投資するということで、EAの開発からハンドリングまで全てをファンドにお任せすることができます。これについては、後ほど、ファンドの項目で解説したいと思います。

「確率論のみで考える」というのは、あるEAを動かした時にどのくらいの確率でどのような結果になるのかという統計を取り、統計学上利益になるのか損失になるのかを算出するという方法です。この説明では全く意味が理解できないかと思いますが、続けます。1つ目の「EAのハンドリングをプロに任せる」と2つ目の「EAを使用するファンドに投資する」は、人に任せるという手段ですので、その人が信用できるかどうかという信用リスクが伴います。信用リスクを見極めるのは非常に難しいことですので、そう考えると、自分自身でEAをハンドリングできるに越したことはありません。しかし、そこには高度なハンドリングスキルを要しますので、よりシンプルにハンドリングしたいと考えるのであれば、「確率論のみで考える方法」が最も合理的です。過去の相場を数多く検証し、確率を求め、利益になるEA、利益になる条件を見つけていきます。その検証、計算が、シンプルにできるものほど、未来においてもその確率に収束する可能性が高いと考えられます。これは極めて合理的でリスクを抑えた運用ができるのですが、恐らくこの説明では意味が理解できないと思いますし、数行の文章では説明しきれませんので、別の記事で改めて詳しく解説したいと思います。

 

(3)ファンド

さきほど、EAの解説でも少し触れましたが、FXで運用をしているファンドに投資するという方法です。FXで運用しているファンドは、世界中に無数にあります。プロトレーダーが裁量でドレードしているファンドもありますし、EAをハンドリングして運用しているファンドもあります。また、裁量とEAを組み合わせているファンドも多くあります。あとは、どのファンドを選ぶかだけの話になりますが、これが非常に難しいのです。ファンドを選ぶ上でチェックすべきポイントはたくさんありますが、その中でも絶対に抑えておくべきポイントを4つほど紹介します。

・過去実績の安定性

・最大損失幅の設定

・出金条件

・信用リスク

 

「過去実績の安定性」というのは、まさに過去の実績において、安定的に利益を出し続けているかということです。このデータを見るだけで、ハイリスクハイリターンなのか、ローリスクローリターンなのかがわかります。国内のファンドでハイリターンを求めるのは極めて困難ですが、海外ヘッジファンドの中には安定的に高いリターンを叩き出しているものもあります。目安としては、安定的に年利20%程度を出していれば非常に優秀なファンドであると考えていいかと思います。裁量でスキルを身に付けてトレードをすれば、月利でも20%は十分に可能ですが、ファンドを考えた場合、年利20%が最高水準のラインとして考えるとよいでしょう。逆にそれを上回ると、リスクも高いと考えるのが妥当です。

「最大損失幅の設定」というのは、例えば、投資した元本に対して万が一10%の損失が出た場合、その月は運用を停止するというような、最大の損失幅がルール化されているということです。ファンドの実績というのは、年単位ではなく、基本的に月単位で見る癖をつけて欲しいのですが、月単位での利益幅が安定しているか、月単位での損失幅が最大でどの程度か、これらが安心して運用を任せられる重要な要素となります。その際、月単位での損失幅が絶対に10%を超えることがないとわかっていれば、安心して任せることができるのです。

「出金条件」というのは、いつでも自由に投資したお金を出金できるかということです。時々、1年間は全く引き出せないというファンドもありますが、1年もの長い期間、何が起こるかわかりません。お金を自分の意思で自由に動かせないというのは、自分のお金ではない状態にあると言っても過言ではありません。これを、流動性がない状態と言います。ですので、自由に出金できること、もっと言えば、出金の依頼をしてから実際に自分の口座に着金するまでの時間が短いことがとても重要なのです。

「信用リスク」というのは、そのファンド会社が、信用のおける会社なのかということです。これは、いろいろな評価の仕方がありますが、例えば、社会的信用という意味では、王手メディアを通じて宣伝広告を行っているかという視点があります。国内においては、テレビCMを行っているようなファンドは、確かに信用のおける会社が多いのですが、年利20%を安定的に出している案件は皆無です。しかし、海外では十分に存在しますし、日本から海外のファンドに投資をすることも可能です。また、あまり知られていない視点ではあるのですが、月額会費制をとっているファンドは信用できる場合が意外と多いです。会社の操業資金を、運用益に依存するのでなく、会費に依存しますので、会社自体の操業とは切り離して運用に注力できますし、手厚いサービスも受けられる傾向にあります。

 

これらのポイントを意識した上でファンドの選択を行えば、大きな失敗をすることはまずありません。むしろ、チェックポイントが厳しすぎて、これら全てを満たすファンドを見つけ出すことができないケースの方が多いでしょう。それが正解なのです。チェックポイントを満たしていないファンドに投資をして損失を出すのであれば、投資をしない方が正解です。そして、全てを満たすファンドが見つかるまで探し続けるべきです。私も、過去5年以上にわたり年利20%を出し、かつ月利で安定的に2%前後を出し続け、全てのチェックポイントを満たすファンドとなると1社しか知りません。当サイトでは、リスクを極限まで抑えることを重視していますので、チェックポイントのハードルをできるだけ下げずに、自信を持って任せられるファンドを探すことをお勧めします。

 

ここまで、3つのFXの取引手法について解説してきました。多くの方がイメージするFX取引は裁量トレードのことであり、FX投資全体から見ると、ひとつの手法に過ぎません。それぞれの手法にメリットとデメリットがあり、リスクとリターンも異なります。選択する手法を間違えると、自分自身の生活スタイルをも変えてしまう恐れがあるのがFXです。それも含めてリスクです。ぜひ、自分の生活スタイル、自分の性格、自分の考え方に合った手法を、慎重に選んでいただければと思います。

FX投資(外国為替証拠金取引)の手法

(1)裁量トレード

リアルタイムで売買を行う手法

膨大な学習と経験が必要→一生稼ぎ続けられるスキル

(2)自動売買(EA)

あるロジックに従い自動的に売買するソフトを使用した手法

<EAで利益を上げ続けるためのスキル(EAも裁量と同じ)>

・EAを動かすか止めるかの判断スキル

・複数ロジック(複数EA)の組み合わせスキル

・パラメーターの最適化スキル

<完全自動で利益を上げ続ける方法>

・EAのハンドリングをプロに任せる

・EAを使用するファンドに投資する

・確率論のみで考える

(3)ファンド

FXで運用しているファンドに投資する方法

<ファンドを選ぶ上でチェックすべきポイント>

・過去実績の安定性

・最大損失幅の設定

・出金条件

・信用リスク