採用面接①

面接官が教える!採用面接で合格者を決める仕組みと必勝法


就職や転職で必ず通らなくてはならない難関は、採用面接です。大手企業や人気企業ともなると、大勢の受験者の中で高い倍率を突破しなければなりません。採用面接の対策本などはたくさん出版されていますが、合格するために本当に必要なのは、採用面接で合格者を決める仕組みと面接官や会社側の事情を知ることです。

 

例えば、英語能力テストであるTOEICは、マークシート方式で機械的に点数が出るため、採点する機械に故障が起こらない限り、出てきた点数は絶対的なものです。機械の気分で点数が変わるものではないので、高い点数を取るためには正しい答えをマークする以外に手段はなく、そのためには英語の勉強あるのみです。しかし、企業の採用面接は違います。企業の採用面接は、面接官が合格者を決めているため、絶対的な正解があるわけでもなく、猛勉強すれば合格するというものでもありません。そのため、面接官が合格者を決めるまでの手順を詳細に知り尽くすことで、面接官に自分を合格者にしてもらうための対応を取ることができます。これこそが、本当の採用面接必勝法なのです。

 

私は、10年間、大手企業で新卒採用の面接官をしてきた経験があります。そのため、面接官が合格者を決めるまでの手順を詳細に把握しています。そこで、面接官が合格者を決めるまでの手順と対策について、解説していきたいと思います。

 

まず、採用面接の合否判断方法は、大きく分けて2種類あります。それは、「協議型」と「点数型」です。どちらの方法を取るかは、企業によって異なります。

 

(1)協議型

協議型とは、受験者全員の面接終了後に、面接官が協議をして合格者を決める方法です。各面接官が点数を付ける場合もありますが、その点数を参考にしながら、最終的には協議で決めます。このように、点数を付けていても、最終的に協議によって決める場合は協議型に分類されます。協議の場において、特に強い発言力や決定権を持つ人がいる場合は、その人の独断になることも多々あります。このような独裁的判断になるケースは、中小企業に比較的多い傾向があります。

 

(2)点数型

点数型とは、面接官各人が点数を付け、集計をして点数が高い順に合格者が自動的に決定する方法です。点数以外の要素は一切合否を左右しないので、面接終了後に話し合いを行う必要はありません。点数型であれば、比較的対策はしやすいため、多く出版されている採用面接対策本に書かれている内容が、役に立つ場合も多いと考えられます。なぜなら、面接をしているその場で点数を付けていくため、対策本に書かれているような注意点やアドバイスが、そのまま点数に直結していくからです。

 

それでは、協議型と点数型のどちらで採用面接を行っている企業が多いのでしょうか。それは、実際のところ、ほとんどの企業が協議型です。私も大手企業で10年間採用面接の仕事をしてきましたが、全て協議型でした。様々な会社の面接官と話をしたことがありますが、完全な点数型で行っている企業はごくわずかで、大半は協議型と言って間違いありません。ですので、基本的には協議型の採用面接に合格するためのポイントを押さえておけば良い結果が得られる可能性が非常に高く、点数型向けの対策本を読むだけではなかなか合格には繋がらないのです。そのため、ここからは協議型の採用面接で合格を勝ち取るためのポイントに話を絞って、解説していきたいと思います。

 

協議型の採用面接で合格を勝ち取るためのポイントは、協議をする際の仕組みを考えれば明確です。その最も重要なポイントを一言で言うと、「面接官にメモを取らせること」です。面接官は、一日にたくさんの受験者を面接して、全てが終わって協議をする時には、はっきり言ってほとんど忘れています。大手企業や人気企業であれば、一日に行う面接の人数も多くなるため、より一層その傾向が強くなります。正直言って私も、一日に何十人もの受験者を面接した後は、疲れ果てていました。だからこそ面接で記憶に残ることをしろ、と言う人もいますが、一発芸をしたら合格するような時代ではありません。疲れ果てていながらも、面接官は真剣に協議をして決めていますので、その協議の土俵に乗せる必要があります。どのようにして、自分を協議の土俵に乗せるのかというと、重要なのは情報です。協議をする上で、情報がある受験者ほど面接官もその人のことを思い出しやすく、協議もしやすいのです。つまり、高い評価が付きやすいのです。

 

情報があるというのはどういうことかと言うと、面接官が手元の紙にメモをたくさん取っていることです。面接官は、面接をする際に、受験者のエントリーシート、履歴書などのコピーを手元に用意しています。また、受験者を評価する上で重要となる「評価シート」のようなものも手元にあり、面接をしながらそのシートに書き込んでいきます。そこに書き込む内容は、もちろん評価なのですが、受験者が話した内容もメモしておきます。このメモが非常に重要なのです。ある受験者に高い評価を付けたとしましょう。この評価をもとに、面接終了後に協議を行うのですが、なぜ高い評価を付けたのかという根拠がなければ協議になりません。ましてや、高い評価を付けているにも関わらず、受験者が何を話していたのか覚えていなければ、せっかく高い評価が付いていても合格にはなりにくいのです。そこで重要なのが、評価シートに書かれたメモなのです。受験者が話していた内容のメモです。そのメモが整理されていて、後から見直して見やすいこと、受験者の話していた内容が思い出しやすいこと、これが最も重要なのです。実はこれは、メモを取る面接官の問題ではなく、話をする受験者の話し方次第で、きれいなメモをたくさん取らせることができます。つまり、受験者が、面接官のメモの取り方をコントロールすることができるのです。

 

それでは、面接官のメモの取り方をコントロールする方法について解説します。メモの取り方をコントロールする具体的な方法は、次の3つです。

インデックス

エピソード

成果

この3つを、話の中に順に盛り込んでいくことで、必然的に面接官がメモを取る量が増えます。経験上、この傾向には、例外はありません。そして、整理されたメモがたくさん取られれば、面接終了後の協議の土俵に上がることができ、その中でも他の受験者に比べて優位に立つことができるのです。結果、合格者として面接官に選んでもらうことができます。それでは、この3つについて解説していきます。

 

(1)インデックス

インデックスとは、これから話す内容の目次のようなもので、話の一番はじめにもってきます。つまり、結論をはじめに言ってしまうということです。インデックスの数は、2個〜3個程度が適切です。具体的な話し方としては、「3点ほど挙げさせていただきます。1点目は○○、2点目は○○、3点目は○○です。それではまず1点目の○○についてですが、、、」というように続いていきます。これにより、面接官の頭の中が整理され、メモを取りやすくなりますし、全体の中のどのあたりを今話しているのかという現在地が常に確認できるようになるため、面接官にフラストレーションが溜まることはまずなくなります。

 

(2)エピソード

エピソードとは、インデックスで述べた「結論」に導くための根拠となる実話のことです。インデックスで「結論」を最初に挙げましたが、なぜそうなのかという根拠が必要です。その根拠を、実話をもとに説明していきます。例えば、頻度の高い質問事項である自己PRについての質問で、インデックスの1点目に「リーダーシップ」を挙げたとしましょう。その場合、なぜ自分にはリーダーシップがあると言えるのかという根拠となる実話を示します。例えば、「高校時代野球部で、2年生でキャプテンに抜擢されてチームをまとめ、3年生の夏についに目標としていた甲子園ベスト8を達成しました。」というようなエピソードです。つまり、2年生からキャプテンとしてリーダーシップを発揮し、その結果も形として表れたということです。これにより、インデックスで示したポイントが明確になると同時に、エピソードの内容もしっかりと評価されます。

 

(3)成果

成果とは、エピソードの中で得られた実績のことです。これを明確に示すことが重要です。実は既に、エピソードの説明のところで例として示してしまったのですが、その例で言うと「甲子園ベスト8」が成果に当たります。成果の示し方には、重要なポイントがあります。それは、「定量的」「具体的」に示すということです。この例では「ベスト8」という明確な定量性がありますので、非常に理想的な示し方と言えます。悪い例をあえて作ると、「甲子園で自分たちの満足できる結果を残すことができました」というような示し方です。第三者が聞くと、どうだったのかさっぱりイメージできません。このように、誰もが明確にイメージできる定量性、具体性を重視してください。「ベスト8」というように数字が入っていれば当然定量的と言えますが、数字が入っていなくても、「金賞」「○○資格取得」のように具体的であれば問題ありません。

 

以上の3つをしっかりと意識した話の構成にすることで、面接官のメモの取り方をコントロールすることができるのです。つまり、面接官に、整理されたメモをたくさん取らせることができ、面接終了後の協議の土俵にあげることができ、結果合格することができるのです。それでは、3つのポイントを意識した話の構成について、具体的にイメージを膨らませていただくために、より具体的な事例をひとつ紹介したいと思います。そして、その具体的事例のような話の構成にした結果、面接後の協議の場で何が起こるのかについても、説明していきたいと思います。具体的な事例と協議の場で起こることについては、次の記事で詳しく説明していきますので、是非そちらの記事で学習していただき、採用面接で合格を勝ち取っていただければと思います。

 

>3つのポイントを意識した話の構成の具体的事例

採用面接で合格するために必要なこと

=採用面接で合格者を決める仕組みと面接官や会社側の事情を知ること

採用面接の合否判断方法:「協議型」「点数型」

・協議型:面接官が協議をして合格者を決める方法

・点数型:点数が高い順に合格者が自動的に決定する方法

→ほとんどの企業が協議型

協議型採用面接で合格するためのポイント

=面接官にメモを取らせること

見直しやすい整理されたメモがたくさん取られている

→受験者の話が思い出しやすい

→協議の土俵に乗る

受験者が面接官のメモをコントロールできる

(1)インデックス

これから話す内容の目次(2〜3個)

(2)エピソード

結論に導くための根拠となる実話

(3)成果

エピソードの中で得られた実績

定量的・具体的に示す