株式投資①

初心者が失敗しないための株式投資の始め方


株式投資は、株式会社が発行した株式に投資をすることで、投資の中でもFXと並び人気のある手法です。FXと比較をされることが多いのですが、近年FXの取引環境が非常に便利になっていることから、FXと比べてデメリットが比較的多い手法となっています。例えば、FXと比べてレバレッジが小さく資金量が必要であること、相場が動くのが平日昼間の一定時間に限定されていること、一日に動く値幅に制限がありストップ高やストップ安が起こること、日本の個別株は取引量が少なく意図した通りに約定しない場合が多々あること、経済全体だけでなく個々の会社業績に影響を受けるため銘柄選択においては情報収集すべき範囲が広いことなどが挙げられます。一方、FXのような通貨間の取引と比べて取引できる銘柄数が圧倒的に多く、選択する銘柄により様々な投資が可能であるという大きな利点もあります。世界中の公開株式となると壮大な話になってしまいますので、ここでは、約3000〜4000社ある日本国内の上場株式に絞って、話を進めていきたいと思います。

 

株式投資を行うには、証券会社に口座を開き株式を取得するのですが、大きく分けて現物取引信用取引があります。低リスクで安定的に資産を増やしていくことに重点を置いた投資を行う場合、信用取引の方が優れている面が多いと考えられます。信用取引のメリットとしては、レバレッジが通常約3倍まで効くという点と、多くの銘柄において空売りができる(売りポジションを持てる)という点の2つが主なところで、この2点は、資産運用を行う上では非常に重要となります。そのため、圧倒的に信用取引を行うケースが多いのですが、信用取引では購入できない小型株もありますので、投資戦略によっては、現物取引を行うこともあります。証券会社にもよりますが、手数料も若干異なり、現物取引の方が高い場合がほとんとです。また、あまり浸透していませんが、CFDという取引手法もあります。FX同様に簡便に取引できることや、レバレッジが約5倍までかけられることが主なメリットですが、手数料が非常に高いというデメリットがあります。税制上の違いもありますが、税制は時代により変化しますので、ここでは割愛します。

 

このように、株式投資と言えど、意外と仕組みは複雑です。ただ、これらの仕組みの中で、いかにリスクを極限まで抑えて安定的に資産運用をするかが最も重要なポイントになります。株式投資で資産を増やす方法としては、様々な手法、戦略がありますが、ここでは主な投資戦略に絞って解説していきたいと思います。まず、株式投資の手法を大きく分類すると、以下の4種類に分けることができます。

・裁量取引

・投資顧問

・投資信託

・配当金/株主優待

 

(1)裁量取引

裁量取引とは、自分自身の裁量で株式を売買する手法で、当然ながら裁量スキルが必要となります。どの銘柄をいつ買っていつ売るのかという裁量判断が、運用成績の全てを決めます。このような裁量の考え方は、FXと非常に似ているのですが、FXとの極めて大きな本質的な違いがひとつありますので覚えておいてください。それは、「取引するタイミングを見極めるのがFX」「いま取引すべき銘柄を選定するのが株式」ということです。FXは通貨間の為替差益を狙った取引ですので、通貨の組み合わせ自体がそもそも数に限りがありますし、その中でも、どこのFX業者でも取り扱いのあるメジャーな通貨ペアとなると、数十ペアに限られます。そのため、どの通貨ペアで取引を行うかももちろん重要ではありますが、それ以上に、どのタイミングで買ってどのタイミングで売るかという、売買タイミングこそがFXで資産を増やす上での真髄と言えます。一方、株式の場合、FXとは比にならないレベルの銘柄数が存在しますので、いま買うべき銘柄はどれかというように、いまが買うタイミングである銘柄を選ぶという作業が非常に重要となります。このように、FXと株式の裁量取引は、相場の見方が全く異なりますので、注意が必要です。このような性質を理解した上で、株式で裁量取引を行うことになりますが、そこには非常に多くの投資戦略が存在します。ごく一般に知られている投資戦略として、今後値上がりしそうな株を購入し値上がりしたら売るというものがありますが、正直この戦略は危険で、あまりにもリスクの大きい単調な戦略です。なぜなら、どれほどの有望株であれ、日本の株式市場全体が暴落を起こせば、ほとんどの場合、それに引きずられて値を下げるからです。これは、その企業の業績が例え好調であっても起こります。このような不可抗力が株式市場にはあるということです。これを考慮した上で、リスクを抑えて安定的に資産を増やしていかなくてはなりません。それでは、どのような戦略を取ればいいのでしょうか。詳細な戦略について説明をすると膨大な内容になりますので、改めて別の記事で解説したいと思いますが、ここでは、株式の裁量取引における主な投資戦略の種類のみ列挙しておきたいと思います。大きく分類すると、主に以下の5つになります。

・テクニカル取引

・両建てテクニカル取引

・サヤ取り

・低位株ファンダメンタル取引

・イベント投資(新規公開株投資"IPO投資"など)

 

株式の裁量取引を行う場合は必ず戦略を立てることになりますが、主にどのような戦略が存在し、低リスクで安定的に資産を増やすためにはどの戦略が有効なのかを知った上で取り組んでいただきたいと思いますので、まずはそれぞれの戦略の特徴について理解してほしいと思います。

>裁量取引の5つの戦略について知る

 

(2)投資顧問

投資顧問とは、投資家に対して、投資をすべき銘柄や売買タイミングのアドバイスを行う会社や個人のことを言います。投資家は、証券会社に口座を開設して資金を入れた後は、投資顧問のアドバイス通りに売買を行います。投資顧問業としてのプロが銘柄分析、相場分析を全て行い、アドバイスをしてくれますので、投資家としては非常に楽なのですが、それ以上に非常に重要なことがあります。それは、優秀な投資顧問をいかに見分けるかということです。正直、これが極めて難しいですし、これが全てを左右します。ほとんどの方は、優秀な投資顧問に出会えないと言っても過言ではありません。そこで、優秀な投資顧問を見分けるための条件について、絶対に押さえておくべき基本的なポイントを3つほど解説したいと思います。

 

①金商番号

投資顧問業というのは金融商品取引業者ですので、金融庁から登録を受ける必要があり、金商登録を受けて金商番号が発番されなければ営業することができません。財務省の各管轄の財務局が発番することになりますが、例えば関東財務局、近畿財務局、北海道財務局などがあります。これは法律で決められていますので、絶対です。そのため、金商番号がしっかりと確認できることが最低条件となるのですが、金商番号があれば信頼のおける優れた投資顧問であるかというと、それは別の問題です。むしろ、金商登録されている業者の大半は、投資家の納得できる結果は出せていないのが現実です。そのため、あらゆる側面から投資顧問業者を見ていかなくてはいけないのですが、ここでは金商番号のみで判断できる話をすると、番号の若い業者の方が昔から営業をしていて長期の実績が確認できるということです。金商番号が若く、昔から営業していて、現在においても営業を続けており、その長期に渡る実績が確認できるのであれば、当然ながら判断もしやすいということになりますので、金商番号から読み取れるひとつの重要な情報と言ってよいでしょう。決して番号だけで判断してはいけませんので、この後解説する項目も併せて判断することが重要です。金商番号が若い業者は、大手企業が多いのですが、その中に埋もれた聞いたことのない小さい業者で、細く長く限られた固定顧客と二人三脚で営業を続けているような業者の中に、本物の優秀な投資顧問が隠れている可能性がありますので、参考までに頭の隅に置いておいてください。

 

なお、金融庁は、金融商品取引業者をインターネット上で公開していますので、一度確認してみるとよいでしょう。

>金融商品取引業者登録一覧(金融庁)へのリンク

 

②ロジック公開

投資顧問が投資家に対して銘柄などのアドバイスを行う場合、当然ながら、何かしらの根拠をもってその銘柄を勧めているはずです。つまり、銘柄選定を行う上でのロジックがあるはずです。そのロジックが、ある程度公開されていることが重要です。もちろん企業秘密の部分もあり、細かいところまでは教えてもらえない場合もありますが、ロジックにも様々な種類がありますので、大枠の銘柄選定ロジックくらいは公開されていないとむしろ不安であり、不透明であると感じます。また、基本的なロジックはもちろんですが、どのような根拠でその個別銘柄を選んだのかという具体的な説明が、銘柄提供の際にあるとより安心と言えます。また、銘柄選定のみでなく、買い付けた後、手仕舞いまでの間、詳細なアドバイスがもらえることも重要で、そのロジックが公開されていることも重要です。どうなるまでその銘柄は保有し続けるのかというプランとその根拠、手仕舞いをする場合なぜそこで手仕舞いをするのかという根拠が明示されるということです。手仕舞いは、利益確定に限らず、損切りの場合も同じで、損切りのロジックは明確である必要があります。銘柄情報のみを提供して終わりという業者もありますので、注意が必要です。長期運用想定の投資顧問であれば、大型株の銘柄提供が多く、短期運用想定の投資顧問であれば、低位株の銘柄提供が多い傾向にありますが、いずれの場合も手仕舞いまでの詳細なアドバイスと根拠の明示は必須です。特に後者の場合、顧問料が割高の場合も散見されるため、より一層の注意が必要です。銘柄選定から出口戦略までの一連のロジックと根拠については、これらが記載された過去のレポートなどのサンプル例を見ることができれば、ぜひ確認するとよいでしょう。また、未来の相場の変化は誰にもわかりませんので、一回の取引のみで考えるのではなく、将来の資産計画を含めた投資戦略を明示してくれるかどうかも確認するとよいかと思います。

 

このように考えると、そもそも株式取引についての知識がなければ、ロジックを知った時点でその投資顧問がどのような特徴なのか、どのようなリスクがあるのか、信用して大丈夫なのかという判断ができません。そのため、投資顧問を利用して株式投資を行う場合においても、株式投資の裁量取引の戦略については、ある程度学習しておく必要があるということです。この点を十分に理解した上で、投資顧問の利用については考えるべきです。

 

③集客方法

優秀な投資顧問を見極める上で、集客方法がひとつの判断材料になります。投資顧問の中には、異常なまでに集客に必死と思われる業者が多くありますので、そのように感じた場合は十分に注意すべきです。私は多くの投資顧問会社に直接電話をして担当者と話をしたことがあります。これは、肌感覚としてよくわかるのですが、集客のための必死感が伝わってくる場合があるのです。例えば、「昨日ちょうどプレミアム枠に1枠空きが出ました」とか、「1週間程度で10倍になる銘柄がちょうど今日みつかりました」とか、このような説明をされることがあります。冷静に考えてください。本当に1週間で10倍になるのであれば、枠に空きが出るはずがありません。必死に集客する労力を銘柄分析に注いで実績を上げた方が、本当の意味での集客になり、一度ついた顧客は離れませんので、今後長期にわたり顧客獲得に苦労することはないはずです。私はビジネスアイデアクリエイターとして、新しいビジネスを構築する仕事をしていますが、ビジネスという視点に立ち本来あるべきビジネスの姿と照らし合わせて考えると、明らかに不自然な点が見えてくることが多々あります。だからこそ、本当に優秀な投資顧問は集客をほとんどしていないですし、世の中に出回っている情報も少ないですし、既存顧客も利益が出ていて人に教えたくないためネット上の口コミも少ないのです。少し余談になりますが、ネット上の情報は、悪い情報ほど実際の顧客が記載した真の情報で、良い情報ほど業者側が作った飾られた情報です(嘘とは言いませんが少なからず飾られています)。この情報社会の中、いかに情報を取捨選択し、正しく判断するかが重要なのです。そこで、インターネット上の情報を判断するための唯一とも言える確実な方法を教えます。答えは、インターネット上だけで判断せず、リアルで判断するということです。当たり前のことですが、極めて重要なことです。ホームページを確認し、電話をし、サービスについて知りたいという目的で実際にその住所を訪ね、担当者から話を聞きます。しかし、これでは不十分です。実際に訪ねた際に、既存の顧客がコンサルティングなどの目的で訪ねて来ていたら、その顧客が外に出てくるまで待ち、話を聞きます。つまり、実際にその投資顧問を利用している顧客側から見た生の声を聞くということです。その投資顧問の利用を検討しているための参考意見として聞きたいという話であれば、意外と本音を聞ける場合が多いです。このように、投資顧問会社側が提供する情報だけでなく、顧客側の生の声は必ず聞いてから判断すべきです。

 

(3)投資信託

投資信託とは、株式投資の運用を全て業者に任せるというもので、投資家は、資金を投資信託の業者に預け、運用する投資商品を選ぶだけです。投資信託を利用するメリットとしては、投資家の取引スキルを必要としないためハードルが低いということや、複数の株式に投資する投資商品を選ぶことでリスク分散ができること、海外株式に投資する商品を選べば簡単に海外株式投資が行えることなどが挙げられます。一方、全てを任せるという性質上、裏を返せば自らコントロールすることができませんので、業者のスキルに全てを委ねることになりますし、業者自体の信用リスクも重要なポイントとなります。投資信託の商品の選び方に関する情報は多く存在していますが、あくまでも、株式を投資対象とした投資信託ですので、株式投資のデメリットは直接受けることになります。つまり、経済状況の影響を強く受けるということです。長期運用により、多少の経済状況の変化は平準化できるという考え方もありますが、長期運用になればなるほど、将来の相場の予測はできません。そのため、良い時悪い時の波がなく、リスクを極限まで抑えて安定的に資産を増やし続けるという視点においては、株式投資自体がそのような特徴を持ち合わせていないため、投資信託であっても難しいと言えるかと思います。その根拠は、投資信託はほぼファンダメンタルで銘柄選定をしているためです。そのため、テクニカルの手法も取り入れて短期的な売買で確実に積み上げていこうと考えると、自らスキルを習得して裁量取引を行うか、そのようなロジックで情報提供をしている投資顧問を選択する方が、理にかなっていると言えます。また、株式だけでなく、FXも含めてトレードを行うファンドなども存在しますので、そちらも検討対象として考えてもよいかと思います。

 

(4)配当金/株主優待

株式を所有することで、配当金や株主優待が受けられるというメリットもあります。これらを目的に株式を所有するという人も少なくありませんが、投資としてのメリットは残念ながら小さいのが事実です。投資金額に対する配当金のリターンは非常に低く、株価の下落による元本割れのリスクも非常に高いため、リスクを抑えて安定的に資金を増やすという意味においては、投資対象としては非効率的で適した投資とは言えません。ちなみに、配当利回りの目安としては、高くても10%を超える程度に過ぎません。また、配当利回りの高い株式を選択した場合、株価は上げ止まりに達していてその後下落する可能性を大いに含んでいるため、リスクも高いと考えられ、配当利回りが高すぎることも逆に注意すべきなのです。また、ひとつの会社の業績に依存した投資であることも、大きなリスクです。株主優待を受けたくて株式を所有する場合も、株価下落のリスクを負ってまで株式を所有するのは、安全な投資とは言えません。株主優待で得られるものが魅力的なのであれば、適切な投資手法で安定的に利益をあげ、得られたお金で株主優待特典をオークションで購入する方が、はるかに安全かつ安価で手に入る場合が多いです。以上のように、リスクを抑えて安定的に資金を増やすための投資を行うのであれば、配当金や株主優待を目的とした株式投資は適していないのです。

 

一方、株主優待を得るために売買する人の投資行動を利用した売買戦略を取ることもできます。つまり、株主優待を得ることを目的に投資を行うのではなく、株主優待を得るために売買する人が多いことで発生する株価変動を利用して取引を行い利益を得るという戦略であり、こちらは非常に理にかなった有用な手法になりますので、別の記事で詳しく解説したいと思います。ちなみにこの手法は、実質的には株主優待投資ではなく、裁量取引になります。

 

 

ここまで、株式投資の手法について、4つに分類して解説してきましたが、これらの中で実践するに値する手法は、裁量取引投資顧問の2つと言えます。裁量取引には高度なスキルが必要であり、スキルを身につけるためには多くの学習と経験が必要ですが、一度身につけることができれば一生稼ぎ続けられる財産となりますので、チャレンジする意欲と覚悟がある方は、ぜひとも挑戦していただきたいと思います。ただし、裁量取引と言えど多くの投資戦略がありますので、優位性の高い投資戦略を必ず選択するようにしてください。また、投資顧問については、優秀な投資顧問を探し出すことができれば、非常に有用な投資手法と言えます。優秀な投資顧問を見分けるポイントをしっかりと押さえ、慎重に判断をしてください。株式投資は、FXと比べて必要資金が多くリスクが高い部分もありますが、投資手法、投資戦略について十分に考えて選択し、実践することで、低リスクで安定的に資産を増やし続けることが可能な投資商品ですので、検討してみるのもよいかと思います。

<参考文献>

・金融庁, 金融商品取引業者登録一覧 >外部リンク

株式投資

利点:銘柄の選択肢が多い

欠点:資金量が必要、平日昼間に限定、値幅に制限、意図通り約定しない

(1)裁量取引

自分自身の裁量で株式を売買

・テクニカル取引

・両建てテクニカル取引

・サヤ取り

・低位株ファンダメンタル取引

・イベント投資(新規公開株投資"IPO投資"など)

(2)投資顧問

投資すべき銘柄や売買タイミングのアドバイス

優秀な投資顧問を見分けるための条件

①金商番号

②ロジック公開

③集客方法

(3)投資信託

株式投資の運用を全て業者に一任→信用リスク

ファンダメンタルで銘柄選定→リスク高い

(4)配当金/株主優待

投資対象としては非効率的