【トピックス】資産運用EXPO 2019

資産運用EXPO2019から見る投資業界の最新動向


資産運用EXPOは、2018年から始まった投資業界の展示会で、2019年1月24日〜26日に東京ビッグサイトにて第2回が開催されました。出展社は190社で、第1回と比べ60社も増えており、投資業界の盛り上がりが感じられます。そこで、東京ビッグサイトの会場に実際に足を運び、投資業界の最新動向を見てきましたので、収集した情報の概要について共有したいと思います。なお、当サイトでは、私自身が実際に投資をして確認していない投資商品については一切推薦をしませんので、以下の記事でも、具体的社名や商品名は伏せています。尚、一部記載している社名や商品名は、私自身が実際に投資しており、安全性と収益性を確認しているものになります。

 

資産運用EXPOの会場は非常に広く、不動産投資、金融資産投資(株式、FX、投資信託、仮想通貨など)、現物資産投資(金、プラチナなど)、家計見直し(保険、ローン、FPによる家計相談など)のそれぞれのカテゴリーにおいて、多くの企業が出展していました。家計見直し関連の出展は、2019年から新たに新設されたカテゴリーで、時代背景が反映されているように感じます。まず、全体を見て回った印象として、現在の投資業界において重視する傾向にあると思われるキーワードは、以下の3つです。

・少額投資

・自由選択

・AI

少額投資と自由選択においては、明らかにこれらを求めるニーズが市場にあるためで、少額でできる、自由に選べるという仕組みで投資商品が作られている企業のブースには、多くの人が集まっていた印象があります。AIについては、市場のニーズがあるというよりは、投資会社として、AIを利用することによる業務の効率化や正確性を求めるものですので、あくまでも投資家受けしやすいキャッチコピーとして前面に打ち出している企業があるという印象でした。AIを使用していようがいまいが、収益性と安定性があれば、投資家としては特に着目すべきポイントにはならないと言えるでしょう。

 

左右に長い会場の中で、最も広い面積を占めていたのは、不動産投資に関連する企業です。約半分強を不動産会社のブースが占めている印象でしたが、これは需給のバランスにやや偏りがある印象です。つまり、供給過多です。横に長い会場の中央から左半分は不動産関連のブースで、その多くにおいて、かなりきつい客引きがありましたので、客引きが苦手な方、そもそも不動産投資に興味のない方は、足を運ぶ必要のないゾーンかもしれません。その中でも、今年特に目にとまったのは、「AI不動産投資」に関する企業が複数見られたことです。不動産投資にどのようにAIを活用するのかと言うと、何万とある不動産情報の中から、過去の膨大な情報と独自のアルゴリズムに基づき、AIが資産価値、利回りなどを判断して物件選定を行うというものです。このように、多くの物件から一次スクリーニングをAIが行い、そこから最終的な絞り込み、確認、判断の作業をするのは、不動産に精通した企業の方ということになります。AIと言われると非常にキャッチーに聞こえますが、多くの物件を短時間で効率的にスクリーニングできるという、企業側のメリットが大きいようにも感じます。ちなみにですが、2018年の資産運用EXPOで出展していたAIを用いたFX自動売買は、2019年は出展していませんでした。もし2年連続で出展し、実績と信頼が積み上げられているようであれば、試してみる価値があるかもしれないと考えていましたので、少し残念ではあります。本件については、別のルートから、調査を進める予定です。話を戻しますが、出展している不動産会社は様々ですが、業界最王手を含めた大手不動産会社の出展が増えている傾向にありました。資産運用EXPOに出展することによる価値が、不動産業界全体としても高く評価されているものと感じます。

 

不動産投資に近い投資モデルとしては、コインランドリー投資太陽光発電投資などの出展がありました。世の中にコインランドリーが増えていると感じる方も多いかと思いますが、コインランドリー投資は非常に熱い業界で、2018年と比べても大幅に出展企業数が増えました。狭い土地、狭い物件でもできる投資として、駐車場、駐輪場、自動販売機、コインロッカーなどがありますが、コインランドリーは近年需要も非常に多く、需給のマッチした投資案件のようです。また、これらと類似したビジネスモデルになりますが、外貨両替機投資という出展もありました。外貨両替機を設置し、手数料が収入になるというビジネスモデルです。来日する外国人の数が増えている近年において、非常に興味深い投資案件になります。太陽光発電投資は、2018年に引き続き非常に多くの企業が出展していました。比較的リスクの低い安定した投資案件ではありますが、発電した電気の買い取り価格は決まっており、その価格が年々下がってきている状況下において、今後はこの投資モデル自体に見直しが入る時期が近づいてきているようにも感じます。何社かのブースで話を聞きましたが、そのような印象を強く感じました。現在の買い取り価格が投資価値としては限界という声も聞かれ、買い取り価格が今後更に下がることも決まっていますので、物件を売り切ろうという雰囲気も感じられました。当業界の今後の動向には、引き続き注目したいと考えています。

 

金融資産投資(株式、FX、投資信託、仮想通貨など)については、横長の会場の右半分に集中しており、FX業者や証券会社の出展が目立ちました。業界最王手クラスの証券会社などの出展はありませんでしたが、中堅クラスの有名な企業も多数出展していました。特に新しい商品でなくても十分に投資家を惹きつけているブースも多数あり、ご存知の方もいるかと思いますが、ここ10年ほど利用者数を伸ばし続けている「トラリピ」は、2018年に引き続き高い人気を維持している様子でした。トラリピについては、設定方法さえしっかりとしたロジックを組むことができれば、ローリスクミドルリターンの優良な投資商品であると感じており、私も実際に利用していますので、別の記事で紹介できればと思います。一方で、2018年と比べて大幅に出展が減っていたのが、仮想通貨関連です。業界自体の動きも激しく、一時的な大きなブームはひと段落した雰囲気もあり、また、安定志向の投資案件に対するニーズがある中で、2019年の大きなキーワードにはならないのではないかと感じます。その理由は、投機的な目的のみで仮想通貨業界が動いているためです。不動産にしても、為替にしても、投資家とは一切関係なく、市場理論の中で消費ニーズがしっかり地盤を固めており、その上で投資が行われています。しかし、仮想通貨はなかなか一般社会に浸透しきれていないのが現状です。そのため、当面は今後の動向をウォッチしていく業界になりそうです。

 

少額投資、自由選択というキーワードで、いかに魅力的な仕組みを作れるかが投資家を集めるポイントになるという説明をしましたが、金融資産投資の中で、仕組みとして面白いと感じられる出展も幾つかありましたので、2つほど紹介したいと思います。1つ目は「テーマ投資」です。投資信託をテーマで選ぶというイメージで、サイト上で簡単にテーマやポートフォリオの配分などを設定するだけです。多数のテーマの中から選定するだけで、そのテーマに属する有望企業10社を厳選してポートフォリオを組んでくれるのです。テーマの例としては、ペット、寿司、ドローン、外食チェーン、アンチエイジングなど多種多様で、選ぶ楽しさもあると言えます。2つ目は「ソーシャルレンディング」です。数年前から急速に人気の出てきた投資案件で、ある企業に対して融資を行うためにファンドを組み、そこに対して投資家が投資できるという仕組みです。ソーシャルレンディングを展開する業社は数社ありますが、業社によって融資先の傾向が異なり、不動産関連企業への融資を主としている業者もあれば、自然エネルギー企業への融資を主としている業者もあります。償還までの期間は数ヶ月から1年くらいが一般的で、利率は年利で3〜10%程度になります。利率の毎月分配や、償還率の高さ、そして1万円ほどの少額から投資可能であることが人気が急上昇している理由です。業界としても、リピート率が非常に高いのが特徴です。今回は、ソーシャルレンディング業界でトップ3に入る証券会社の出展もあり、多くの投資家の興味関心を集めていました。

 

金融資産投資の中で、近年増えてきているビジネスモデルとしては、ニッチ投資のマッチングがあります。通常はなかなか投資のできないニッチな投資先に投資ができるというもので、例えば、ヘリコプター、プラネタリウム、医療などに投資ができます。少額での投資は難しいかと思いますが、多数の個人投資家から少額ずつ融資を募るクラウドファンディングとは異なり、直接的にマッチングさせるビジネスモデルです。仕組みに工夫は必要かと思いますが、今後市場が広がる可能性はあるかと思います。

 

 

最後に、まさに時代を反映している興味深い案件の紹介をひとつしておきます。それは、副業支援の業社です。2018年も狭い区画で出展していましたが、2019年は圧倒的にブースにも力を入れており、非常に多くの方々が集まり活気を況していました。副業ブームの波に上手く乗り、ニーズを掴んでいると言えます。具体的には、株、FX、不動産、転売など、様々な副業を学ぶことができるというスクールです。この業界は、当面は伸びていく市場であると感じますので、今後の動向もウォッチしていきたいと思います。。

 

このように、資産運用EXPOは、多くの投資案件を一度に見ることができる貴重な機会ですので、投資業界の最新の動向を肌で感じるためにも、足を運んでみるのもよいかと思います。非常に勉強になりますし、刺激にもなります。ただし、出展者は、投資家を集めることが目的ですので、当然売り込みもあります。その売り込みをただ聞いているだけでは、どこの会社がいいのか、どの投資案件が優れているのか、全く判断がつきません。投資業界全般をある程度事前に学習した上で参加することで、出展社の方に的確な質問ができ、有意義な情報収集をすることができますので、来年以降参加される方は、十分に事前の学習を行った上で参加することをお勧めします。また、非常に興味深いセミナーも無料で開催されており、事前にセミナーの講師と内容をHP上で確認して申し込むことができ、専門家による貴重な講演を聞くことができます。私は、IPOに関連するセミナーなどを聴講してきましたが、非常に有意義で勉強になる内容でした。出展ブースをまわるのが苦手だという方も、席に座ってゆっくりと聴けるセミナーに参加するだけでも、十分に価値があるかと思います。2020年も資産運用EXPOの開催は決定していますので、無料で幅広く投資業界の情報を収集できる場として、参加してみるのもよいのではないでしょうか。

<資産運用EXPO 2019>

カテゴリー:不動産投資、金融資産投資、現物資産投資、家計見直し

最新の傾向キーワード:少額投資、自由選択、AI

・不動産投資:大手不動産会社出展、「AI不動産投資」複数社出展

・コインランドリー投資:出展数大幅増

・太陽光発電投資:電気買取価格低下により方向転換の時期か

・外貨両替機投資:時代にマッチし今後伸びる可能性あり

・FX、証券:中規模業社中心に出展社数多い

・仮想通貨投資:出展数大幅減

・テーマ投資:自由選択に魅力のある投資モデル

・ソーシャルレンディング:少額投資に魅力のある投資モデル

・ニッチ投資マッチング:投資先のニッチ性が魅力

・副業支援:時代背景を捉えた人気業態、当面市場拡大の予想