リアルビジネスの中で特に始めやすいのは、セミナービジネスとコンサルティングビジネスです。この2つは誰にでもできるビジネスで、いずれも教育ビジネスに分類されます。教育ビジネスは常に需要があり、今後もまずなくなることはありません。また、開業資金がほとんどいらないというのも魅力的で、必要経費が少ないため利益率も極めて高い業態です。決して楽な仕事ではありませんが、収支が非常にシンプルで、資金効率のよいビジネスです。
私は教育ビジネスのコンサルティングを行っていますが、このような話をすると、人に教育できるような知識やスキルは何もないと言われる方が非常に多くいます。しかし、全くその心配はいりません。セミナーやコンサルティングのテーマの決め方には絶対的な鉄則があり、その鉄則に従って教育する内容を設定するだけで誰にでも実践可能なのですが、その解説を始めるとそれだけで壮大な内容になってしまうため、また別の記事で解説したいと思います。実際に、私がコンサルティングをした方の多くが、セミナービジネスやコンサルティングビジネスで成功されています。開業初月の売上が100万円を超えた方、セミナーが話題となりテレビ朝日から取材の依頼を受けた方など、はじめてセミナービジネスに取り組む一般の方でも大きな成果を挙げていますので、間違いありません。
さて、セミナービジネスに話を戻します。みなさん、セミナー業界について、どのような印象をお持ちでしょうか。正直、あまりピンと来ないという方もいるのではないでしょうか。実際のところ、日本のセミナー業界の現状は、欧米に比べて遅れを取っています。東アジアは全体的に遅れを取っている傾向にありますが、その中では比較的、韓国が進んでいます。日本のセミナー業界においては、セミナーを行う側もそうですが、受ける側のレベルもあまり高くありません。本来、セミナーで学んだ内容を実践してみて、成果に繋がってはじめてそのセミナーは評価されるべきですが、セミナー会場その場での満足感で評価されている現状があります。そのため、セミナーで情報を得るだけ得て満足するという、いわゆるノウハウコレクターが多いのです。そもそも学んだだけで満足して、実践しない人さえもいます。セミナーは、ショーではありません。エンターテイメントではありません。教育ビジネスとしての価値、日本のセミナー業界の質が、更に上がって欲しいところです。近年、日本のセミナー業界の市場は、急速に拡大しています。特に都内は貸しセミナールームであふれていますが、需要が非常に多く、なかなか空いていないのが現状です。平日の夜や土日ともなると、予約が取れないのが現状です。これは、セミナー業界自体が伸びていることの証拠でもありますので、今後の日本のセミナー業界の発展には、期待が持てるのではないでしょうか。
無数にあるリアルビジネスの中でも、特に価値があり、利益率が高いのは教育ビジネス、特にセミナービジネスです。ここからは、そのセミナービジネスの種類と特徴について解説していきたいと思います。まず、セミナービジネスには、2つのビジネスモデルがあります。それは、「セミナー講師」と「セミナー主催」です。
(1)セミナー講師
セミナーの講師をビジネスとして行います。いわゆる先生です。講師としてセミナーを行う意味、目的に着目すると、これもまた2つのタイプに分けられます。「情報提供型(知識提供型)」と「商品販売型(バックエンド型)」です。
①情報提供型(知識提供型)
情報提供型のセミナーとは、情報や知識を提供することを目的としたセミナーです。収入源はセミナー参加費、経費は会場費や集客費などです。セミナー参加費がそのまま収入源となりますので、ある程度単価を上げる必要があります。そのためには、セミナーテーマ、コンセプト、ターゲット選定が非常に重要です。正しい選定をすることで、十分に単価を上げられますし、集客もできます。先日私は、アイデア発想法のセミナーを開催したのですが、1万円の参加費で、25人ほど集まりました。単純計算で売上25万円です。例えばこれを週に1回、月に4回行えば、月商100万円です。同じアイデア発想法セミナーでも、何を目的としたアイデア発想なのか、誰を対象とするのかで、様々なセミナー展開が可能です。月に4回セミナーを行うとした場合、目的や対象の違うセミナーにすれば、集客の幅が広がります。このように、情報提供型のセミナーでも、十分にビジネスになるのです。情報提供型のセミナーの場合、セミナーの中で教える内容にオリジナリティーが必要です。つまり、競合との差別化です。そして、作り上げた独自のセミナーコンテンツは、立派なオリジナル商品ですので、可能であればそのコンテンツに名前を付け、商標登録をするのがよいかと思います。
セミナー講師にとって、最も頭を悩ませるのが集客です。集客の方法は様々あり、どれが正解ということはないのですが、最も効率的に考えるならば、集客を外注することです。例えば、集客代行業者に依頼するという方法があります。また、セミナー主催のビジネスをしている人とジョイントするという方法も、非常に効率的です。そうすることで、セミナー講師にとって最も大切なオリジナル商品であるセミナーコンテンツの創造に、時間を使うことができます。集客を全て自分で行うことも十分に可能ですが、コンテンツ作成より集客に時間を取られてしまう場合が多々あります。自分がプロのセミナー講師としてビジネスを展開していくなら、集客のプロと組むのが最も効率的であることは言うまでもありません。
セミナー講師としてビジネスを立ち上げて間もない時期は、コストを抑えるためにも、自ら集客を行うケースが少なからずあるかと思います。集客のプロに外注するのが最も効率的ではありますが、集客の仕組みを学ぶという意味でも、一度は自己集客にチャレンジするのもよいことかと思います。自己集客は難しい部分もありますが、手段はたくさんあります。SEO対策のされたサイトの構築、リストを収集してメールマガジンを発行するなど、様々な方法がありますが、いずれも構築するまでに時間を要します。一方、短期間で自己集客できる方法もあります。例えば、セミナー告知サイトの活用です。複数のセミナー告知サイトに登録するだけでも、十分に集客は可能です。「セミナー告知サイト 無料」でぜひ検索してみてください。具体的には、セミナーズ、こくちーず、ストリート・アカデミーなどのサイトが挙げられます。
集客性を高めるためには、セミナー告知サイトに記載する告知文の内容は言うまでもなく重要ですが、セミナー講師の実績や肩書きなども意外と重要で、集客性に直結します。実績の示し方のひとつとして、参加者にアンケートを書いてもらい、それを積み重ねていく方法があります。参加者の声としてそのまま使用することもできますし(使用する場合はアンケート用紙にその旨を記載しておくこと)、アンケート結果を集計して利用することもできます。ここで重要なポイントですが、アンケートの回答というのは、実は誘導することができます。例えば、満足度調査の場合、「セミナーの内容に満足できましたか?」という質問に対し、回答の選択肢を6択にします。非常に満足、満足、やや満足、やや不満、不満、非常に不満、この6択です。選択肢を奇数にしてしまうと、真ん中に「普通」とか「どちらでもない」という選択肢ができてしまい、これを選択する人が実は非常に多く、集計に困ります。6択にすることで、普通と感じている人は、「やや満足」を選びます。非常に満足、満足、やや満足の3つを選んだ人の数を合計し、満足度として集計すれば、満足度は100%に近い数字になってきます。「参加者の99.3%が満足と回答」というような謳い文句を見たことはないでしょうか。この集計方法は、このようなカラクリになっているのです。
実績を示す手法としては、アンケートだけではありません。どのような場でセミナーを行ったかというセミナー実施実績で信頼度を高める方法です。これは、回数を重ねる必要はなく、一度でも実施をするだけで、信頼度を高める効果があります。具体的な例としては、商工会議所でセミナーを行うという意外と知られていない有効な手法があります。「商工会議所 セミナー」でぜひ検索してみてください。例えば「東京商工会議所」のセミナーのページが検索されるかと思いますので、ぜひ内容を見てみていただきたいのですが、非常に多くのセミナーが開催されています。ここで講師としてセミナーを行うのです。公共機関が地域のために無料で提供しているセミナーで講師を行うということですから、講師をすることで収入を得ることはできませんが、公共機関主催のセミナーで講師をしたという実績を作ることができ、信頼度を上げることができます。商工会議所でのセミナー講師経験を実績として記載しているセミナー講師は意外と多くいますので、調べてみると面白いかと思います。
セミナービジネスからは少し脱線しますが、コンサルティングビジネスでは、モニターで実績を作るという手法がよく取られます。実績が全くない状態から、コンサルティング契約を取り付けるのはなかなか難しいことですので、無料や格安のモニター価格でコンサルティングを行い、そこで実績を作るという手法です。この例からも、実績や信頼度が集客においていかに重要であるかがわかるかと思います。
信頼度を上げる方法としては、他にもたくさんあります。よくあるのが、本を出版するという方法です。セミナー講師の多くが本を出版しており、セミナー受講者にその本を配っている光景をよく目にします。本の出版は、費用さえ支払えば誰にでも可能なのことなのですが、決して安い費用ではありません。そのため、信頼度を上げる目的で、コストをかけてまで本を出版することは大きなリスクです。しかし、コストをかけずに本を出版できる方法もあります。それは、電子書籍です。アマゾン(Kindle)で電子書籍を出版することをお勧めします。もちろん書籍の内容もしっかりとしたものである必要がありますが、紙媒体に比べて圧倒的に敷居は低いため、取り組みやすいかと思います。
また、信頼度を上げるためには、肩書きも実は重要な要素のひとつです。資格を持っているのであれば、その資格を肩書きにしてしまうのが最も簡単です。私の場合、ファイナンシャルプランナーの資格を持っていますので、これが肩書きになります。しかし、資格を持っていない方も多いかと思います。その場合は、勝手に自分で肩書きを名乗るという方法で全く問題ありません。私の場合、金融関連の仕事と、新しいビジネスを創出する仕事をしています。前者は資格を持っている「ファイナンシャルプランナー」を名乗ればよいのですが、後者は「ビジネスアイデアクリエイター」と勝手に名乗っています。これは資格でも何でもありませんが、この肩書きがあるのとないのとでは、実は印象が大きく変わるのです。
信頼度に関する話が長くなりましたが、集客に関して、最後に、セミナー主催のビジネスをしている人とジョイントする方法について少し触れておきます。これは、会社に勤務されている方でしたら、多くの方が思い当たる節があるのではないかと思うのですが、仕事に関連するセミナー案内のDMやFAXが会社に届くことがあるかと思います。中には、会社の経費で参加したことがある方もいるのではないでしょうか。このようなセミナーを行っているのが、セミナー主催の会社です。このようなセミナー主催の会社は、多くの顧客リストを所有していますし、同時にセミナー講師も常に探しています。そのような会社にアプローチをし、講師をするのが非常に効率的な方法ですので、ぜひ検討してみるとよいかと思います。
②商品販売型(バックエンド型)
商品販売型のセミナーとは、バックエンドとして販売したい商品を用意しており、その商品を購入してもらうための入り口としてセミナーを行うというものです。バックエンド商品を販売するための、フロントエンドセミナー、またはフロントセミナーなどと呼ばれたりします。銀行が行う「資産運用セミナー」などがその具体例で、資産運用セミナーに参加すると、その銀行の投資信託などの金融商品を勧められたりします。当日のセミナー資料と一緒に、金融商品の申込み用紙も配られたりするでしょう。これがフロントセミナーです。ですので、情報提供型とは違い、セミナー自体がメイン商品ではなく、メイン商品はあくまでもバックエンド、セミナーはその入り口という位置付けになります。つまり、セミナー自体がバックエンド商品販売における集客ツールとなっています。「セミナー集客→セミナー開催→バックエンド商品販売」という流れで、このような手法はツーステップマーケティングと呼ばれたりします。
バックエンド型においては、フロントセミナーで利益を取る必要は全くありません。極端な話、バックエンド商品の販売で利益が取れれば、フロントセミナーは赤字でも構いません。ただし、受講料を安くして、あるいは無料にして、人を集めればそれでいいという単純な問題でもありません。まず大前提として、バックエンド商品を購入してくれる可能性の高いお客様を集める必要があります。高い金額で内容の充実したセミナーをすることで、より高い金額のバックエンド商品を購入してくれる場合も多いのです。受講料を安くしたり無料にすると、失礼な言い方にはなりますが、お客様の質が下がります。そして、バックエンド商品の購入率も下がります。これでは本末転倒です。バックエンドの商品にもよりますが、フロントセミナーの料金設定は、3000円未満はあまり望ましくないと言われています。私も、フロントセミナーの価格を変えて検証したことがあるのですが、安いと申し込み者数は増えるのですがお客様の質が下がり、バックエンド商品の購入率も下がる、高いと申し込み者数は減るのですがお客様の質が上がり、バックエンド商品の購入率も上がる傾向がありました。1000円以下まで下げると、極端に無断キャンセル数が増えます。料金設定はあくまでも全体戦略の中で決めるべきですので、具体的な価格については、参考程度にお考えいただければと思いますが、このような傾向があるということを、頭に置いておくとよいでしょう。
バックエンド型は、セミナー自体はメイン商品ではなく、あくまでもバックエンド販売が目的ですので、いかにバックエンド商品の購入へ誘導できるかという視点でセミナー内容を構成することが重要です。ただし、メイン商品でないとは言え、フロントセミナーの質は高くすべきです。フロントセミナーの質が高ければ、フロントセミナーよりも金額の高いバックエンド商品に対する期待も自ずと高くなり、購入率が上がります。ですから、フロントセミナーだからと言って、出し惜しみをしたり手を抜いたりすることは絶対にせず、充実した内容構成を考るようにしてください。
(2)セミナー主催
セミナー主催は、受講者とセミナー講師を繋ぐマッチングビジネスで、講師発掘力と集客力が重要なビジネスです。特に集客力はビジネスの肝になります。セミナー主催ビジネスを新たに立ち上げる場合、あらかじめ顧客リストを多く所有しているほど短期間でビジネスを軌道に乗せることができます。もしサラリーマンをされている方が、ビジネスに関連するセミナー主催会社の立ち上げを計画しているのであれば、サラリーマンとして働いている間に、可能な限り多くの名刺交換を行い、リスト化しておくことをお勧めします。このように、顧客リスト収集は、前もって計画的に、戦略的に行うべきです。
講師発掘については、いかにセミナー講師にとって魅力のある仕組みを作り上げるか、つまり、セミナー講師にとってどんなメリットがあるかを明確化することが重要です。例えば、知識提供型の講師に対しては、セミナー参加費が売上に直結しますので、実際のセミナー参加費から手数料を差し引いて講師にお渡しする報酬額が高いことが最大のメリットとなります。バックエンド型の講師に対しては、質の高い受講者をたくさん集める集客力があることが最大のメリットとなります。これらの点を意識して明確化すれば、講師発掘にはそれほど困ることはありません。
ここまで、セミナービジネスには、セミナー講師とセミナー主催の2つのビジネスモデルがあること、セミナーの内容には情報提供型(知識提供型)と商品販売型(バックエンド型)の2種類があることを解説してきました。情報提供型と商品販売型は、全く異なるものとして解説しましたが、実はこれらを融合させて仕組み化する方法もあります。セミナービジネスは、教育ビジネスに分類されますが、教育ビジネスで成功している人の多くは、実はこの融合型です。
情報提供型のセミナーを行い、より詳しく学びたい人のために上級編の講座を用意し、セミナー参加者に対して販売するという方法です。上級編は、価格を上げるのが一般的ですし、講座も複数日に渡って行ったり、少人数制で実技的な内容を取り入れたり、スクール形式にしたりと、上級者が満足できる内容のコンテンツにします。このように仕組み化することで、セミナーを軸とした教育ビジネスで、事業を大きくしていくことができます。教育ビジネスの成功者のほとんどは、このようなビジネスモデルを採用していますので、セミナービジネス、教育ビジネスで成功したいと考えている方は、ビジネスの全体的なイメージを考えた上で、計画的に仕組みを構築していくことを強くお勧めします。
セミナービジネス:開業資金が少なく利益率の高い業態
(1)セミナー講師
セミナーの講師をビジネスとして行う
①情報提供型(知識提供型)
情報や知識を提供することを目的としたセミナー
独自のセミナーコンテンツを創造
参加費が収入源→単価を上げる必要あり
集客が最大の課題
・外注→集客代行業者、セミナー主催者とジョイント
・自己集客→サイトSEO、メルマガ、告知サイト
信頼度を高める
→アンケート活用、商工会議所、電子書籍、肩書き
②商品販売型(バックエンド型)
バックエンド商品の販売の入り口として行うセミナー
=フロントセミナー
フロントセミナーで利益を出す必要なし
バックエンド商品を購入する可能性の高いお客様を集める
融合型=情報提供型と商品販売型の融合
教育ビジネス成功者の多くが採用しているビジネスモデル
(2)セミナー主催
受講者とセミナー講師を繋ぐマッチングビジネス
セミナー講師にとってのメリットを明確化する