バイナリーオプションの中でも特に資金効率のいいハイロー取引は、現在のレートより上がるか下がるかを予想し、一定時間後に判定する極めてシンプルな仕組みの投資商品です。5分などの短時間取引が可能で、予想が当たれば2倍弱の金額がペイアウトされ、外れれば投資金は一切戻りません。ハイローで勝つための条件としては3つの重要なポイントがありますが、これらの条件を基に、ある決まった時間に急激な決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングを探し出すことができれば、あとは損益分岐点の計算と、過去検証による勝率の計算をし、損益分岐点を上回る勝率なのであれば継続して回数を重ねることで安定的に資金を増やしていくことができます。リスクを極限まで抑えるためにも、過去検証による勝率計算は極めで重要です。この条件に当てはまる具体的な事例としては、仲値トレードがあります。そこで、仲値トレードの事例を用いて、実際にどのように過去検証を行うのか、そして、仲値トレードの過去検証の結果はどうなるのかについて解説していきたいと思います。また、バイナリーオプションの概要とハイローで勝つための3つの条件については、別の記事で解説していますので、ぜひ先にそちらを理解して欲しいと思います。
仲値とは、午前9時55分の為替レートのことを指し、金融機関が使用する一日のレートとなります。輸出企業の力が強い日本経済全体を考えると、円安の方が経済活動において有利な場合が多いため、一日のレートを円安に設定させるため、一時的に午前9時55分に円安のピークができると言われています。理にかなった考え方ではありますが、為替にはあらゆる要素が影響し合いますので、実際のところ、果たして本当にそのような傾向は見られるのでしょうか。これが本当であれば、午前9時50分に取引時間5分でハイ、午前9時55分に取引時間5分でローでエントリーすることで、午前9時55分の一時的なピークをうまく捉えることができ、高い勝率を残すことができるはずです。そこで、実際にそのような結果になるのかを確認するため、過去検証を実施してみました。
まず、過去検証の実施方法です。5分のハイロー取引を行いますので、少なくとも5分以下の分足過去データが必要です。過去チャートをスクロールで追える為替チャートソフトは多く存在し、特に有名なMT4でもバックテストを行うことができますが、5分足や1分足といった短時間足の過去チャートを追うのは極めて大変で、気の遠くなる作業となります。そこで、時間とレートが既にエクセルファイルに落とされたデータファイルを入手することができれば、効率的に過去検証を行うことが可能です。これを実現するのが、GMOクリック証券が無償提供している、1分足ヒストリカルデータです。過去の1分足のデータを、エクセルファイルの形式でダウンロードすることができます。1分足の膨大なデータですので、1通貨ペアの1日分がひとつのエクセルファイルに落とされた状態となっています。そのため、検証したい日数分のエクセルファイルをダウンロードする必要がありますが、仲値トレードに限らずあらゆる過去検証に利用できますので、ダウンロードしておくことに損はありません。しかも、1分足ですので、1分のハイロー取引をしたい場合の検証にも対応できます。ここでは仲値トレードを例に挙げて解説していますが、ある決まった時間に急激な決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングを探し出すことがハイローで勝つためのポイントですので、ダウンロードしたデータを解析して、決まった法則を探す作業に活用することができるのが最大のメリットと言えます。ぜひ、新たなロジック構築にチャレンジしてみるのもよいかと思います。
話を戻しますが、GMOクリック証券が提供している1分足ヒストリカルデータは、無償で入手することができるのですが、GMOクリック証券に口座を持っていることが条件となります。そのため、口座開設の手続きが必要です。取引の使用有無は関係ありませんので、ヒストリカルデータの入手のために、口座を開設しておくことをお勧めします。ちなみに、もし取引をする場合ですが、GMOクリック証券は国内業者ですので、ラダー取引のみで、ハイロー取引はできませんのでご注意ください。
口座が開設できたら、サイトににログインします。あとは下記の通り、ヒストリカルデータのダウンロードサイトに行き、必要なファイルをダウンロードすることができます。
GMOクリック証券サイト(ログインが必要)>ツール>ダウンロード>ヒストリカルデータ
ここからは、ダウンロードしたデータを使い、仲値トレードの勝率を検証していきます。午前9時50分に取引時間5分でハイ、午前9時55分に取引時間5分でローでエントリーした場合の勝率を検証しますので、午前9時50分、9時55分、10時の米ドル円レートが必要となります。これらのレートを抽出し、1つ目のエントリーについては9時50分より9時55分のレートが高ければ勝ち、2つ目のエントリーについては9時55分より10時のレートが低ければ勝ちという判定をします。一例として、2018年12月の全営業日の検証結果をまとめたものを以下に示します。
データ引用元;GMOクリック証券(https://www.click-sec.com)
このように、1ヶ月分の過去検証データを表にまとめることができます。ここでは、過去検証の手順を説明していますので、1ヶ月分の過去検証結果から仲値トレードの勝率について語ることはできませんが、表の見方としては、午前9時50分に取引時間5分でハイエントリーした場合、13勝8敗で勝率は61.9%、午前9時55分に取引時間5分でローエントリーした場合、18勝3敗で勝率は85.7%となり、2つのトレードを合計した月間勝率は73.8%ということになります。この1ヶ月に限って言えば、高い勝率が得られているようです。あとは、この作業を繰り返し、過去検証の期間を増やすことで、データの信頼性を高めます。それにより、仲値トレードの信憑性を初めて評価することができます。それでは、同様の過去検証を2年分行いましたので、検証結果をまとめたものを以下に示したいと思います。
データ引用元;GMOクリック証券(https://www.click-sec.com)
検証結果の表に示した通り、2年分の過去検証によると、午前9時50分に取引時間5分でハイエントリーした場合の勝率は56〜57%程度、午前9時55分に取引時間5分でローエントリーした場合の勝率は61〜62%程度、2つのトレードを合計した勝率は59%程度でした。2年とも勝率に大きな差はなく、おおよそこのような勝率に収束するものと推察されます。また、1つ目のトレードより2つ目のトレードの方が勝率が高く60%を超えていることから、2つ目のトレード、すなわち午前9時55分に取引時間5分でローエントリーするトレードのみを行う方が高い勝率が得られる可能性が高いと考えられます。従って、ここからは、60%を超える勝率が得られた午前9時55分に取引時間5分でローエントリーするトレードに着目し、検証を進めていきます。
ここで重要になるのが、この60%という勝率が果たして高いのか低いのかという判断なのですが、損益分岐点の考え方が必要となります。この勝率の持つ意味は、損益分岐点が明確になって初めて示されるのです。損益分岐点とは、勝率が何%以上であれば、資金が増えていくかという理論上の計算値です。今回の事例の場合、海外のバイナリー業者にて5分満期のハイロー取引を行うことを想定していますので、このような取引をした場合のペイアウト率を確認する必要があります。ペイアウト率はバイナリー業者により異なりますが、日本人にも特に人気のある大手バイナリー業者であるハイローオーストラリアを例に取ると、5分満期のハイロー取引のペイアウト率は通常1.85倍に設定されています(ペイアウト率は変更される場合があります)。つまり、予想が当たった場合、投資額が185%の金額に増えてペイアウトされます。当然ながら、予想が外れた場合は投資額は0%になります。これらの数値を基に計算をすると、勝率が54%の時に、資金は増えもせず減りもせず横ばいを維持します。「1.85×勝率=1」となる勝率が損益分岐点ですので、計算すると約54%です。この54%の損益分岐点に対して、勝率の期待値は61〜62%ということです。これをリスクが高いと見るか、低いと見るかです。
ここからは個人の解釈ということにはなりますが、真剣に相場と向き合う集中した時間を毎日この時間帯に確保できるのであればリスクは低い、片手間で中途半端に手を出すのであればリスクは高いと私は判断します。どういう意味かと言うと、数字だけを見れば、損益分岐点54%に対して期待値60%超ですから、継続することで資金を増やし続けることは可能ということになります。つまり、理論上は資金を増やすことができるわけですから、あとはいかに理論上の期待値通りの結果を出すかということです。確率の話ですので、継続して回数を重ねることが大前提になります。そのため、なるべく理論上の期待値からの乖離を少なくするためにも、1日1回しかない取引チャンスですから、毎日継続することが大切になります。もしこの期待値が、損益分岐点より20%も30%も高ければ、理論上の期待値から多少乖離したとしても損益分岐点を下回るリスクは低いのですが、この場合は10%未満しか損益分岐点を上回っていませんので、なるべく理論上の期待値から乖離したくありません。そう考えると、毎日継続することが大切と言えるのです。また、損益分岐点の54%を月単位の勝率が下回った回数を見てみると、2年間で5回あります。24ヶ月中5ヶ月はマイナス、つまり2割以上の月でマイナスを出しているのです。それほど大きな数字ではないと感じるかもしれませんが、ここにメンタル的要素が関係してきます。月単位でのマイナスが2割以上の確率で発生することを受け入れ、淡々と毎日取引し続けるメンタルが必要ということなのです。そのため、片手間で中途半端に手を出すのでは、マイナスが続いた場合に安定したメンタルを保つことが難しくなると考えられるのです。
また、真剣に相場と向き合う集中した時間を作る必要があると説明したのには、もうひとつ理由があります。それは、スリッページを起こし約定しない、いわゆる約定拒否を起こすことがあるためです。約定拒否とは、相場が短時間で大きく動いた場合に、エントリーのボタンをクリックしたタイミングとシステムが約定しようとしたタイミングでレートがずれ、約定できないという現象です。これは、相場の動きが激しい時ほど頻繁に起こりますし、どこのバイナリー業者のシステムでも起こります。仲値トレードは相場が大きく動くタイミングをあえて狙った手法ですので、約定拒否が起こりやすいタイミングと言えます。約定拒否が起こった場合は、直ちにエントリーのボタンを再度押す必要があり、約定するまで繰り返さなくてはなりません。約定拒否があまりに続き、その間にレートが大きく動いてしまった場合は、その日は諦めるという判断も時には必要となります。このようなリスクを含めて考えると、真剣に相場と向き合う集中した時間を毎日この時間帯に確保できる場合に限り、極めて有効な手法であると私は判断します。そのような環境が確保できないのであれば、片手間で中途半端に手を出すべきではありません。中途半端な取り組みでは、労力がかかる割にリスクが高いため、注意が必要です。
以上の過去検証の結果から、仲値トレードで資産を増やし続けることができるかの私なりの判断は、以下の通りです。
・損益分岐点54%に対して期待値61〜62%
・真剣に相場と向き合う集中した時間を毎日この時間帯に確保できる場合→資産を増やすことのできる有効な手法
・十分な時間が取れず片手間で中途半端に手を出す場合→労力の割にリスクが高い手法
このように、1分足ヒストリカルデータを用いて長期間の過去検証をすることで、信憑性のある理論上の勝率、つまり期待値が求められます。そして、バイナリー業者のペイアウト率から算出される損益分岐点と比較することにより、継続することで資産を増やし続けることができるか否かを判断することができるのです。今回は、比較的一般に知られている仲値トレードについて過去検証をしましたが、仲値に着目した理由は、冒頭で説明した通り、決まった時間に急激な決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングであるためです。このように、決まった時間に決まった値動きをしやすいタイミングは、実際のところ他にもあります。1分足ヒストリカルデータは、そのようなタイミングを見つけるという目的でも利用することが可能ですので、ぜひ活用してみるとよいでしょう。このように、データを基に検証し計算するだけで、資産が増えるのかどうかを簡単に判断することができるのも、FXとは違いバイナリー特有のメリットです。バイナリーは、勝ち幅と負け幅が一定で決まっているため、勝率のみで計算できます。これがバイナリーの最大の特徴になりますので、この特徴を活かして、リスクを極限まで抑えた取引を実践してほしいと思います。
バイナリーオプションハイロー取引の検証
〜仲値トレードの事例〜
1分足ヒストリカルデータを活用
仲値トレードの勝率を検証
検証期間を増やしデータの信頼性を高める
午前9時55分に取引時間5分でロー→勝率61〜62%
損益分岐点:勝率が何%以上で資金が増えるかの理論値
ペイアウト率1.85倍の場合→損益分岐点54%
<私の判断>
・真剣に相場と向き合う集中した時間を毎日この時間帯に確保できる場合
→資産を増やすことのできる有効な手法
・十分な時間が取れず片手間で中途半端に手を出す場合
→労力の割にリスクが高い手法
<注意ポイント>
理論値からの乖離抑制
淡々と毎日取引し続けるメンタル
約定拒否への対応
<バイナリーの最大の特徴>
勝ち幅と負け幅が決まっており勝率のみで計算可能