バイナリーオプションとは、為替相場の通貨ペアにおいて、現在のレートより上がるか下がるかを予想するという投資商品です。現在のレートを起点として、決められた一定時間後に、現在のレートと比べてどのような位置にあるかを予想します。バイナリーオプションには、大きく分けて2つの仕組みがあります。ひとつはハイロー取引、もうひとつはラダー取引です。現在、国内のほとんどのバイナリー業者はラダー取引を採用しており、海外のほとんどのバイナリー業者はハイロー取引を採用しています。それでは、それぞれの仕組みの特徴について解説したいと思います。
まず、海外の業者が多く採用しているハイロー取引です。ハイローは極めてシンプルで、現在のレートより上がるか下がるかを予想し、一定時間後に判定する仕組みです。判定時間は、30秒後、1分後、3分後、5分後、15分後というように、極めて短時間での判定が主流で、判定時間が訪れた時点で、起点となる予想した時点のレートより上か下かで判定されます。予想が当たっていれば、投資額の約1.8倍〜2倍程度の金額が償還されます。予想が外れていれば、投資金は一切戻りません。当たった場合のペイアウト率は、業者によっても異なりますし、判定時間が短いほど高い傾向、つまり2倍に近づく傾向にあります。これは、判定時間が短いほど、予想が難しいことを意味します。このように、短時間での取引ができ、予想が当たれば2倍弱の金額に増え、外れれば投資金は戻らないという、非常にシンプルな仕組みがハイローの特徴です。ハイローは、仕組みが非常にわかりやすいことと、何といってもペイアウト率が高く、短時間で大きく資金を増やすことができる資金効率の良さが、最大のメリットと言えます。
次に、国内の業者が多く採用しているラダー取引です。ラダーオプションと呼ばれることもあります。ラダーはハイローと比べて仕組みがかなり複雑になっています。基本的には、現在のレートより上がるか下がるかを予想するバイナリーオプションではあるのですが、現在のレートからどれだけ大きく動くかによって、ペイアウト率が変動するのです。つまり、現在のレートからの距離がペイアウト率に影響する仕組みなのです。例えば、現在のレートより上がると予想して投資したとしましょう。この場合、判定時間になった時点でレートが上がっていれば当たりですが、レートの上がり幅が大きいほどペイアウト率は高く、上がり幅が小さいほどペイアウト率は低くなります。厳密には、一定のペイアウト金額に対する購入価格が変動するため、結果的にペイアウト率が決まるという仕組みですが、この説明は割愛します。また、ラダーはハイローとは違い、判定時間を短時間に設定することはできず、基本的には2時間に設定されています。実際は、判定する時刻が初めから決まっており、その2時間前から投資ができるという仕組みで、判定時間が近づくと投資はできなくなります。このように、ラダー取引は、バイナリーオプションの一種ではありながらも、どれだけレートが変化するかという変動幅がペイアウト率に影響してきますので、結局のところ、FXと極めて性質の似た投資商品ということになります。FXも、予想した方向に相場が動けば利益になりますし、その幅が大きくなればなるほど利益は増大しますので、その点は全く同じと言えます。異なる点は、判定時間が初めから決められているという点と、相場が予想と逆行した時の損失額がラダーでは限定されているという点です。判定時間が決められているという点は、自らの判断で、自らの都合のいいタイミングで利益額を確定させることができるFXと比べればデメリットですし、相場が逆行した際の損失額についても、FXでもあらかじめ損切り設定をしておくことで限定させることができますので、ラダーの特筆すべきメリットとは言えません。FXにおけるレバレッジと利確および損切りタイミングを考えた場合、総合的に見てラダーの方が資金効率はよい設定にはなっていますが、ここで資金効率のメリットについて論じるのであれば、圧倒的にハイローの方が有利です。予想した方向にレートが動けば1.8〜2倍のペイアウト率で固定されているわけですから、資金効率の良さは言うまでもありません。このように考えると、ラダー取引は、FXとの類似点が多く、FXとハイローの中間的な性質であり、ラダーを選択することのメリットがわかりにくいのが実情です。
少し余談になりますが、国内のバイナリー業者がなぜこのようなラダー取引というメリットのわかりにくい仕組みを採用しているかというと、国内では金融商品に対する厳しい規制があるためです。実は、厳しい規制が敷かれる前までは、国内業者でもほとんどがハイローを採用していました。しかし、判定時間の短いハイローが禁止され、指定する判定時刻の間隔を2時間以上開けることが義務付けられ、変動幅によってペイアウト率も変動するという仕組みにせざるを得なくなり、現在のようのラダー取引の仕組みとなりました。つまり、規制ができる前までは、国内業者もハイローを採用していたわけですから、ハイローの方がメリットが圧倒的高いことは言うまでもありません。さきほども説明した通り、バイナリーオプションの最大のメリットは資金効率の極めて高い為替取引であるという点になりますので、そのメリットを最大限享受できるハイローに焦点を当てるべきと考えます。
それでは、ここからはハイローに焦点を絞って解説していきたいと思います。ハイローは短時間での判定ができますので、例えば1分後に現在のレートより上がるか下がるかを予想し、それが当たればたった1分で投資した金額が2倍近くになるわけですから、FXではあり得ない資金効率です。これが最大のメリットです。しかし、注意しなくてはいけないのが、あまりにも仕組みが単純であるがゆえに、ただのゲーム感覚で捉えてしまいがちな点です。ハイローは立派な為替トレードですから、FX同様に、しっかりとした根拠を持って相場が上がるのか下がるのかを考えなくてはいけません。つまり、テクニカル分析などの分析をしっかりと行った上で取引をするということです。テクニカル手法を用いたハイローのトレードは、考え方としては基本的にはFXと同じです。特にエントリータイミングに対する考え方は全く同じと言えます。しかし、FXの場合は、出口戦略が非常に重要で、どこで利確するのか、どこで損切りするのかが難しいポイントになりますが、ハイローの場合は全く違います。30秒後、1分後、3分後、5分後、15分後などというように、判定時間があらかじめ決まっていますので、出口戦略は一切必要ありません。その分、エントリータイミングと判定時間の選択が重要になります。そこがFXとの最大の違いです。そのように考えると、出口戦略を立てることができない点が、ハイローのデメリットと言うことができます。このデメリットこそが、資金効率がいい最大の理由なのです。FXは、チャート分析をしっかりと行い、裁量スキルを身につけることさえできれば、高い確率で安定的に勝つことも可能なのですが、ハイローの場合、例えチャート分析がしっかりとできたとしても、たまたま判定のタイミングで一時的にレートが予想と逆行し、その後予想した方向に再び戻ることも多々あります。具体的には、下記の図のようなイメージです。この場合、テクニカル分析自体は正しかったにもかかわらず、判定のタイミングが固定されているため、そのタイミングで負けていれば結果は負けで、投資金を失うことになります。つまり、運も左右するのです。例えば、上昇トレンドの相場において、5分後のハイにエントリーしたとしても、ちょうど5分後のその瞬間のレートを予測することは非常に難しいのです。全体としては上昇トレンドであったとしても、決められた5分後のその瞬間に、エントリー時点より相場が上になくてはいけないのです。これが、FXとの大きな違いで、バイナリーオプションで勝てないという声が多く聞かれる理由です。FXで勝てている人でも、バイナリーでは勝てないのです。この考え方のままバイナリーオプションで勝つことを考えるのであれば、FXにおいて、エントリー後に含み損を一切抱えることなくそのまま勝つことを目指す必要があるということになります。このようのな完璧なトレードをすることは非常に難しく、エントリーした直後は、一時的に多少の含み損を抱える瞬間があるのは当然のことです。FXにおいてはこれが常識ですが、バイナリーにおいてはこれが命取りなのです。
それでは、どのようにすればバイナリーオプションで勝てるのでしょうか。それは、非常に強い短期トレンドが発生した時を狙うことです。トレンドが緩やかであればあるほど、短期間の値動きの予想は難しくなりますが、指標発表などで急激にトレンドが発生した時などは、わずか1分後であっても、大幅に現在のレートより上か下かに動きます。これを正確に予想することができれば、細かいレートのノイズに一切振り回されることなく、確実に予想と結果が一致します。これが、ハイローで勝率を上げるためのポイントになります。それでは、このような短期の急激なトレンドを、テクニカル分析で読み取ることはできるのでしょうか。テクニカル分析に詳しい方は、短期の急激なトレンドは、例えばバンドウォークなどで読み取ることができるという発想があるかと思います。しかし、バンドウォークすらも起こらないレベルの超短期トレンドを読む必要があるのです。判定時間1分のハイローであれば、1分足チャート1本分のスパンですから、バンドウォーク以前の問題です。このように考えるとわかる通り、結局のところ、テクニカルでハイローを攻略するには限界があるのです。つまり、指標発表時のような急激な短期トレンドをリアルタイムで見抜く値動きの感覚を身に付けるか、ファンダメンタルで予想するかのいずれかが必要になるのです。繰り返しになりますが、ハイローで勝率を上げるためにはテクニカル分析では限界があり、以下の2つのいずれかでなければ勝つことは難しいのです。
・急激な短期トレンドをリアルタイムで見抜く値動きの感覚を身に付ける
・ファンダメンタルで予想する
まず1つ目の、急激な短期トレンドをリアルタイムで見抜く値動きの感覚についてですが、これが得意な人も実際にいます。指標発表時の波に上手く乗り、FXで大きな利益を上げている人も一定数いるのは事実です。しかし、ほとんどの人は、指標発表時はトレードをあえてしません。自動売買をしている人も、指標発表時はストップさせるケースが非常に多いのです。つまり、よほど得意でない限りは、手を出さない方がいいのが指標発表時のような急激な値動きですので、ハイローにおいても、この値動きの波に上手く乗る感覚を身に付けるのは簡単ではありません。それでは、ファンダメンタルはどうでしょうか。指標発表時は間違いなく上か下かに大きく動きますので、その方向を予想すればいいのです。それをファンダメンタル分析で予想するのがアナリストになりますが、正確に高い確率で予想できる人はほとんどいません。また、指標発表のチャンス自体が多くありませんので、そのスキルを身につけるための反復練習も十分にできないのです。このように考えると、短期トレンドの急激な値動きを見抜く感覚にしても、指標発表時のファンダメンタル分析にしても、スキル習得のハードルは非常に高いと言えます。
指標発表というのは、事前に発表される時間が決められています。そのため、必ずその時間になると相場が劇的に動き始めます。さきほど説明した通り、このような短期的な動き方は、ハイローで予想通りに確実に勝つためには向いているのですが、ファンダメンタルでの予想の難易度は高く、チャンス自体も多くありません。これらのデメリットを解消することさえできれば、ハイローで勝つための考え方としては間違っていません。つまり、取引チャンスが多く、ファンダメンタルの予想が容易で、決まった時間に急激な値動きが起こるという条件に合致するポイントを探すのです。繰り返しになりますが、指標発表時と同様の考え方に基づいてハイローで勝つための条件とは、以下の3点になります。
・取引チャンスが多い
・ファンダメンタルの予想が容易
・決まった時間に急激な値動きが起こる
これらの条件を満たすという視点に立って、勝てるポイントを探す作業が重要で、その結果独自のエントリーチャンスを見つけ出したという人もいます。その中でも、比較的有名な手法がありますので、ひとつ紹介したいと思います。それは、仲値トレードと呼ばれる手法です。仲値とは、午前9時55分の為替レートのことを指します。銀行などの金融機関で、本日のレートというような表示を見たことがあるかと思いますが、FXのようにレートが刻一刻と変わっていては銀行の取引業務が滞ってしまいますので、よほど極端な為替変動がない限りは、その日一日は一定のレートで取引業務を行います。この一定のレートというのが仲値なのです。つまり、午前9時55分のレートが、その日一日のレートとして適用されるわけですから、非常に重要な意味を持つレートということになります。これほど重みのあるレートが、午前9時55分の一瞬にあるのです。そこで、米ドル円のレートを例として考えてみましょう。この場合、仲値というのは、円高と
円安のどちらに対して働くことが多いのでしょうか。仲値に影響を与える要素は多数ありますが、そのうちのひとつとして、日本経済において重要な支えとなる産業としては、自動車産業を始めとする機械産業など、輸出により売上を伸ばしている産業が多いということが挙げられます。つまり輸出企業にとっては円安の方が利益が増え、それによって日本経済もよくなるため、金融機関も円安を望みます。そのため、仲値に向けて金融機関もドルを買うことで為替を円安方向に動かします。事実、円安の日に日経平均株価は上昇しやすい傾向にあります。また、企業からの予約注文のバランスも関係しており、円買い注文より米ドル買い注文が多い場合は、仲値に向けて金融機関が米ドルを買うことで円安方向に為替を動かし、利益を得やすくすることも可能です。ただし、その逆の場合も考えられますので、これらを総合したバランスにより、仲値が決まりますが、日本経済全体を考えると円安の方が有利な場合が多いのが一般的な考え方で、仲値の決まる午前9時55分のタイミングでは一時的に円安になると言われています。このファンダメンタル要素と時間が決まっている点に着目して、ハイロー取引を行うのが仲値トレードです。具体的には、午前9時50分に取引時間5分でハイ、午前9時55分に取引時間5分でローでエントリーすることで、午前9時55分の一時的なピークをうまく捉えることができます。さきほど説明した通り、予約注文における円買い注文と米ドル買い注文のバランスに絶対はありませんし、ここでは説明しきれないその他の要因も多々ありますので、必ずしも仲値が円安方向に一時的なピークを作るとは限りませんが、総合的に考えてその傾向が強いというロジック自体は理にかなっています。あとは本当にそのロジック通りになるかという確率論で考えることができます。
ここではひとつのロジックの事例を紹介しましたが、仲値以外にも、ある決まった時間に決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングも存在しますし、このような相場の特徴を研究している人もいますが、ロジックさえ確立させてしまえば、あとは確率論で考えることができるのがハイローの最大の特徴です。予想が当たった時のペイアウト率は固定されていますし、外れた時は投資額がゼロになることも決まっています。つまり、勝率だけで全てを考えることができ、損益分岐点となる勝率も計算することができます。そのため、損益分岐点以上の勝率を安定的に残すことができるロジックなのであれば、継続することで資金を安定的に増やしていくことができるのです。さきほど、ハイローで勝つための3つの条件について説明しましたが、その条件を満たすロジックを構築したとして、あとは損益分岐点の計算と、過去検証による勝率の計算をすることで、資金を増やすことができるロジックであるかどうかが一目瞭然なのです。計算した結果、損益分岐点を上回る勝率なのであれば、継続して回数を重ねることでその勝率に収束させていけばいいのです。
ここまで解説してきたように、バイナリーオプションの最大のメリットは、資金効率の良さであり、そのメリットを最大限享受するためにはハイロー取引が適しています。そして、ハイローで勝つためには、取引チャンスが多く、ファンダメンタルの予想が容易で、決まった時間に急激な値動きが起こるという条件に合致するポイントを探すことが重要です。この条件に合致するロジックを見つけ出すことができれば、損益分岐点の計算と、過去検証による勝率の計算を行い、損益分岐点を上回っていれば継続することで資金を安定的に増やすことができます。これがバイナリーオプションを攻略するための正しい考え方の流れです。あとは、どのようにして決まった時間に決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングを探すのか、そしてどのように過去検証をするのかがポイントになりますが、その具体的な手法については、改めて次の記事で解説したいと思います。ひとつの例として仲値トレードについての説明をしましたが、損益分岐点の計算と、過去検証による確率の計算には触れていませんでしたので、仲値トレードの事例における過去検証についても、次の記事で実際に紹介します。ぜひ参考にしていただければと思います。
バイナリーオプション
・ハイロー取引:海外業者
現在のレートより上がるか下がるかを予想し一定時間後に判定
判定時間が短い
当たれば2倍弱のペイアウト
資金効率が極めて良い
・ラダー取引:国内業者
現在のレートからの距離がペイアウト率に影響
FXと極めて性質の似た投資商品
ラダーのメリットはわかりにくい
<ハイロー取引>
テクニカル分析で取引しても判定時間の一瞬のレートは予想できない
ハイロー必勝法=強い短期トレンドを狙う
・急激な短期トレンドをリアルタイムで見抜く値動きの感覚を身に付ける
・ファンダメンタルで予想する
ハイローで勝つための条件
・取引チャンスが多い
・ファンダメンタルの予想が容易
・決まった時間に急激な値動きが起こる
決まった時間に決まった値動きをしやすい根拠のあるタイミングを探す
具体例:仲値トレード
損益分岐点と過去検証からの勝率で考える